関学大 × 日本IBM AI共同プロジェクト統括からのメッセージ

[ 編集者:教務機構   2019年2月19日 更新  ]

巳波 弘佳 関学大 × 日本IBM AI共同プロジェクト統括(学長補佐・理工学部情報科学科教授)

巳波教授

巳波教授

昨今のAI(人工知能)を中心とする技術革新により、様々な分野において今までアプローチが困難であった問題の解決が進み、世界はAI技術による大きな転換期を迎えています。社会構造や働き方にも急激で大きな変化が起こりつつあるなか、これから必要とされる人材を輩出することは、教育・研究機関である関西学院にとって急務です。このような課題認識のもと、最先端のAIの一つとして知名度の高い“Watson”を擁するグローバル企業であるIBMと本学で、人材育成や産学連携を含めた総合的な取り組みを行うための包括的な共同プロジェクトを2017年9月より開始しました。

いくつかのテーマについて検討した結果、まず「AIに関する基盤教育」と「キャリア支援」に関するテーマに重点的に取り組むことになりました。これらのテーマは学生の育成と支援に関わるものであり、時代の急速な変化に対応するために特に急がなければならないものだからです。

AIに関する基盤教育

① AI活用人材

すでに今でも多くの企業がAI技術を活用するようになってきています。これからの社会で求められるのは、AI技術の専門家だけではなく、文系理系関係なく、AIやそれに関連する技術を理解して活用できる人材です。そこで、「AI・データサイエンス関連の知識を持ち、さらにそれを企業活動や経営などに活用して、現実の諸問題を解決できる能力を有する人材」を「AI活用人材」と定義し、このような人材を育成することを目的としました。

AIに関わる人材は、大きく三つに分けることができます。最先端のAI技術そのものを研究開発するAI研究開発者、AI技術を活用して現場の課題を解決したり新サービス・新製品を作り出したりするAIユーザ、そのようなAIユーザにソリューションを提供するAIスペシャリストです。本学のプログラムは、特にAIユーザ・AIスペシャリストの育成をターゲットとしました。それは、分野を問わず実に多くの企業がAI技術を必要としていること、それらの企業がAIソリューションを求めていることから、人材需要のボリュームゾーンがAIユーザやAIスペシャリストにあると考えられるからです。

AIユーザやAIスペシャリストは、必ずしもAI技術の基盤である高度な数学やプログラミング技術に習熟している必要はありません。そこで本プログラムでは、思い切ってAI技術の基盤に関する知識は必要最小限にとどめ、AIを活用するためのスキルにフォーカスすることにしました。

② AI活用人材育成プログラム

AI活用人材育成プログラムの特長として、以下の3点が挙げられます。

まず「初学者を念頭においた授業内容」であることです。基礎から積み上げるカリキュラムによって、予備知識がなくても十分学べるような構成になっています。

2つ目は「体系的かつ実践的なスキルの修得」です。本プログラムの科目群を履修するだけでAI活用スキルを修得できるよう自己完結型に体系化されています。また、実際の現場にも現れるような内容の演習を数多く盛り込むことで、実践力を体系的に修得できます。

3つ目は「ビジネス視点の醸成」です。IBMなどAI活用企業の実務の視点を取り入れた授業内容となっています。また、実際の事例を意識したPBL(Project Based Learning)を数多く行うことにより、ビジネスの現場での即戦力を修得できるようにしました。
 

③ AI活用人材の活躍

関西学院が2018年3月に発表した超長期ビジョン・長期戦略からなる将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」の中で謳っている「強さと品位」「真に豊かな人生」「質の高い就労」。大学を卒業し、就職・進学に際して自らの志す進路へ踏み出し、自ら人生を切り拓くために必要な知識・能力・資質を卒業までにしっかり身につける必要があります。

これからの社会において、AIは避けて通れない技術です。AIに排除される・使われる人間になるのではなく、AIを使いこなしAIを活用してより良い社会を築ける人間となるためにも、このAI活用人材育成プログラムが本学の学生に役立つことを心から願っています。