ライティングスキルの習得
提供プログラム
2020年4月より、学部生を対象とした科目と大学院生を対象とした科目をそれぞれ開講しています。
これらの授業では、リポートや論文を執筆する際の基本的な構造・ルールを理解できます。また、実際に情報を収集しながら文章を執筆する実践的な活動を通して、リポートや論文の執筆に必要な技能を習得できます。さらに、学生が作成したリポートに対して、担当教員が何度もフィードバックをおこなうのも大きな特徴の1つです。
大学生(学部)向け科目
科目名「スタディスキルセミナー(リポート執筆の基礎)」
大学でリポート課題に取り組むことに対して不安を抱えている学部生や、リポートの書き方を体系的に学びたい学部生を対象とした科目です。主な対象者は1年生ですが、2年生以上の受講も可能です。
本科目では、「文章を書き、教員による添削や受講生同士での相互評価の内容を参考に、書いた文章を修正する」という実習形式の活動を繰り返します。これにより、大学や社会で求められる基本的なライティングスキル・論理的思考力の習得を目指します。
大学院生(研究科)向け科目
科目名「論文執筆のためのアカデミックライティング」
大学院に入学してこれから論文を執筆する大学院生や、論文の書き方について改めて学び直したい大学院生を対象とした科目です。
本科目では、論文を執筆する際に必要となる、基礎的な知識・技能を習得することに重点を置いています。特に、受講生同士で相互評価・相互支援をする「ピアレビュー」を取り入れているため、院生同士での教え合い・学び合いができることが特徴です。
さらに、ライティングセンターで教育指導員(学部生のリポート等ライティング課題の執筆の支援をおこなう大学院生)になりたいと考えている場合は、本科目の履修を推奨しています。
個別支援
授業のリポート課題や卒業論文など、アカデミックな文章を書くことで悩んだり困ったりしたときは、ライティングセンター専属のスタッフや教育指導員(本学大学院生)から1対1でアドバイスを受けることができます。相談は1回あたり45分(予約制)です。
どうすれば書き手の考えが的確に伝わってわかりやすい文章になるかを、書き手自身が気づいて修正できるよう、対話を通じた支援をおこないます。
主な支援項目
構成
パラグラフライティングができているか、序論・本論・結論の構成になっているか、タイトル・章・節の見出しは適切か、引用の仕方は適切か、ウィキペディアやネット記事からの引用はせずデータの信頼性を保つことができているか など
内容
主張や立場は明確か、主張・根拠・具体例は明確か、 参考文献の書き方は適切か など
※内容が正しいかなど、各授業や研究の専門性に踏み込むような支援は行なっていません。
表現
一文一義の文章になっているか、キーワードにブレはないか など
感染症対策
感染症対策として、オンラインで対応するブースを設置しています。なお、セッションの予約枠に空きがあれば、当日予約にも対応しています。
オンラインでは、ライティングセンターにいる教育指導員と利用学生とをZoomでつなぎ、資料を共有しながら進めています。物理的な距離は離れていますが、個別支援を通して対話することを重視しており、教育指導員が一方的に話すのではなく利用学生が発言する機会が多く設けられています。
支援後の変化
支援前と支援後の課題の実例をご紹介します。この課題は、200字で主張や根拠を取り入れながら書くことを練習するためのもので、最終稿を提出する前にライティングセンターにて支援を行ないました。
支援前 | 支援後 | |
---|---|---|
学生の書いた文章 | タイトル:「どこかの国の話ではない」 本文: 米国同時多発テロ事件が起こってから今年で20年になる。どのくらい日本人があの事件の情景を記憶しているだろうか。あの事件は国際テロ組織が米国の中枢機関を狙い撃ちするために行われた。しかし、多数の民間人の命を奪う結果となり、日本人も24人含まれている。従って、テロは日本にとって無関係の話ではないのだ。20年前の最悪のテロ事件が今後起こらないようにするために、国際的な取り組みに日本も積極的に関わる必要がある。 |
タイトル:「日本のテロ防止に向けた情報利用」 ◇参考文献◇ |
文章の特徴 | 根拠となる参考文献や主張を支える論拠が提示されておらず、自分の考えが先行するかたちとなっています。また、リポートのタイトルからは内容が想像できない状態です。さらに、行頭が2文字空いており、形式的な面でも改善を要する点がみられます。 | 論拠をよりどころにした考察をし、タイトルも本文の内容に適したものに変えることができました。参考文献に関しても、字数のぶら下げや改行位置はまだ修正の余地があるものの、適切に提示されています。 |
利用者の満足度
アイデア段階のリポートを抱えて来室した学生からは、相談を通して「どういう展開でリポートを書いていったらよいのか明確なイメージが持てた」という意見が多くあり、執筆初期の段階のリポートを抱える学生は、「リポートの基本的な形式や書き方のポイントを丁寧に説明してくれたので分かりやすかった」と述べています。ほぼ完成したリポートについては、「文章の飛躍があるところを指摘してもらえて助かった」との意見がみられました。
このように、センターではさまざまな執筆段階での相談に対応し、利用学生も相談に対して満足していることがわかっています。
利用学生の声
・大変丁寧に教えていただいた上に話しやすい環境を作っていただいて助かりました。(法学部1年生)
・リポートをどのように書き進めていけば良いのか、自分は何をするべきなのかが明確になって、リポートを書くやる気がでました。(商学部1年生)
・自分でも予期していなかった改善点などをみつけてくださり、本当に助かりました。(経済学部2年生)
・構成が見えてきました。やるべきことが分かったので書き進めることができそうです。(教育学部2年生)
・私が実際に書いた文をもとに構造を再検討するところから丁寧に指導していただけたのでとてもありがたかったです。(総合政策学部1年生)
・卒論のテーマを決めるにあたり、よりテーマを深掘りして具体的に考えられるようになりました。(社会学部4年生)