国際バカロレア(IB)教員養成プログラム
関西学院大学が開講する国際バカロレア教員認定証(International Baccalaureate Educator Certificates :IBEC)を取得するためのプログラムについて紹介します。
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国際バカロレアについて

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムです。
本学は、国際バカロレア教員認定証(International Baccalaureate Educator Certificates :IBEC)を取得するためのプログラムを2019年4月から開設します。
取得可能な認定証
―IB Certificate in Teaching and Learning (IBCTL) ― Diploma Programme(DP)
国際バカロレア資格

1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
現在、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施しています。
この内容は、国際バカロレア機構、文部科学省のホームページから引用しています。
国際バカロレア教員養成プログラム構想について
国際バカロレア機構
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、3才~19才までの学生を対象とした国際的な教育プログラムです。2018年10月14日現在、世界153カ国の約4,964の学校でカリキュラムが運用されています。また、国際バカロレア機構(IBO)は、アフリカ・ヨーロッパ・中東地域、アジア太平洋地域、アメリカ地域の3つの地域に分かれて運営されており、それぞれの地域で専門的な開発イベントやワークショップが開催されています。
日本における取組
文部科学省では、国内に国際バカロレア(IB)認定校等を200校にする計画があります。
詳しくは文部科学省のホームページを参照してください。
文部科学省IB教育推進コンソーシアムHP「日本におけるIB教育」外部のサイトへリンク
本学での取り組み

本学では関西学院千里国際高等部・中等部、関西学院大阪インターナショナルスクールと連携して、2019年4月から、国際バカロレア教員養成プログラムを開講しています。
国際バカロレアの理念
国際バカロレアの理念
国際バカロレアの理念は、一貫した国際教育の観点から、「IBの使命」や「IBの学習者像」として示されています。
(1)IBの使命(The IB mission)
「IBの使命」は以下のとおりであり、国際教育プログラムを推進し、発展させることの総体的な目的が示されています。
国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
この目的のため、IBは、学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。
IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。
このようにIBプログラムでは、「国際的な視野」をより明確な言葉で定義づける試みと、実践を通じてその理想に近づこうとする努力を、IB認定校の使命の中心として位置づけています。
(2)IBの学習者像(The IB Learner Profile)
「IBの学習者像」は、「IBの使命」を具体化したもので、「国際的な視野をもつとはどういうことか」という問いに対するIBの答えの中核を担っています。具体的には、IB認定校が価値を置く人間性を、以下10の人物像として表しています。
「探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念をもつ人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスのとれた人、振り返りができる人」
IBのプログラムについて
国際的な視野を持った人材を育成するため、生徒の年齢に応じて、以下の教育プログラムを提供しています。
(1)プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)
PYP【約1,500校 (国内:28校)】
3歳~12歳を対象として、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。
どのような言語でも提供可能。1997年設置。
(2)ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)
MYP【約1,400校 (国内:17校)】
11歳~16歳を対象として、青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。
どのような言語でも提供可能。1994年に設置。
(3)ディプロマ・プログラム(DP)
DP【約3,200校 (国内:42校)】
16歳~19歳を対象としたプログラムであり、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能。
原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施。1969年設置。
(4)キャリア関連プログラム
CP【136校(国内:-校)】
16~19歳を対象として生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を重視した、キャリア教育・職業教育に関連したプログラム。
一部科目は英語、フランス語又はスペイン語で実施。2012年設置。
IB educator certificates
IB教員/指導者認定【IB機構の説明より】
(1) 認定課程
認定課程は「Teaching and Learning(教員対象)」と、「leadership(管理職・コーディネーター)」に分類されます。それぞれに「advanced」プログラムがありますが、これはIB経験者(3年以上)でさらに研究していくことを目指す教員向けです。
本学で今回開講するのは、教員を目指す者、新任教員、IB未経験の教員が対象の「IB certificate in teaching and learning」です。
(2) IB certificate in teaching and learning
「IB certificate in teaching and learning」の要件として次の4つの分野に該当する科目(単位)を設定します。これらの授業は、IB式のアクティブラーニング形式で行います。
IB certificate in teaching and learning
(A) Curriculum process
IBプログラムのカリキュラムの枠組みと枠組みを支えるプロセス
・国際教育とIBプログラムの役割と原理
・カリキュラムの枠組み
・カリキュラムの構築
・カリキュラムの継続
(B) Teaching and learning
指導と学習
・学習理論、方策とスタイル
・指導の方法論と学習の支援
・差別化指導方法
・指導と学習教材の選択とそれらの評価
(C) Assessment and learning
評価と学習
・評価の原理
・評価方法の開発
・評価のタスクとルーブリック(評価基準)のデザイン
・評価の差別化
・効果的なフィードバック
(D) Professional learning
専門性の高い学習
・振り返り実践の原則とプロセス
・協働作業:計画、実践、評価
・実践のコミュニティ構築をサポートする情報通信技術(ICT)の使用
本学の国際バカロレア教員養成プログラム(DP)
(1)プログラムの概要
IB教員(DP)認定証のためのプログラムは、4年の日本の教員養成課程の最初の3年にわたって学習します。1年次秋学期に始める理由は、それまでに一般の教育のコースにおいて異なる教育の理論に触れて来ているため、この先行知識が、これらの教育モデルとIBの教育の枠組みを支える原理を比較対照する機会となるからです。
2年目に受講される2つ目と3つ目のコースは「指導と学習、評価Ⅰ・Ⅱ」で、IBの教育の原理に基づいた「指導と学習、評価」の方法と協働作業を中心とした演習で効果的な指導実践力がつくように作られています。「指導」と「学習」、「評価」は、実際の学習環境において螺旋状につながっているので、授業設計におけるこれら3つの最大の要素はあえてひとまとめにして1年を通して一貫したコースとして構成しました。そうすることによって、学生が、必要な知識、スキル、理解を見直し、さらなる理解につなげることができることを目指しています。
また、プログラムには独立した探究プロジェクトが組み込まれています。刻々と変化し続ける世界に出ていく若者を育成する現場の教師は、常にプロフェッショナルな実践力の向上が求められています。この探究プロジェクトを通して、何をリサーチしたり、見直したり、実践したりする必要があるのか体験するための機会を設けたものです。故に、このプロジェクトは、4つ目の「プロフェッショナル・ラーニング」に入れています。探究プロジェクトの計画は学期の始めに提出されますが、フィードバックによって変更したり修正したりすることができるものとしています。3年生の後期に行うIBDP認定校での実習で実践し、振り返り、教師としてのさらなる向上のためにアクションプランを作ります。理想としては4年生でもさらなる実習を行うことができれば有益なものになると思われますが、IBDP認定校がまだ少ないため2回目の実習を受け入れる学校を探すことは困難です。しかし、教員養成課程の一環として、学生は一般的には母校で日本の教員免許取得のための実習を経験します。
(2)コースの概要
国際バカロレア教員養成プログラム (DP)のコースは、国際バカロレアをモデルとして使いながら、国際教育の概要から出発する「学びの旅」としてシーケンスが設定されています。
次に、指導と学習、評価について螺旋型に学習します。最後のコースで、独立して行動する機会としてIBDP認定校において実習するコースとして設けています。
コース作成者は、全体的に現行のIBの「基準と実践要綱」(2014)に基づいて順序だてました。
「基準と実践要綱」
A:理念
B1:リーダーシップと体制
B2:リソースと支援
C1:協働設計
C2:指導計画
C3:指導と学習
C4:評価
このコースのシーケンスはまた、問題や状況、項目を特定し、リサーチした情報を分類し、自分とつなげ(探究)、行動に移し(行動)、振り返り(振り返り)、さらに新たな問題を特定し、行動するという探究サイクルにも従っています。
コースは、IB教育者のネットワークのメンバーでもあり所属する学校のシニアリーダーシップチームメンバーでもあるIB教員によって協働で作成されました。構成主義の学習モデルを通して実習生の能力を育てる実践的なコースで、力量のある教員になるために必要な知識、スキル、概念的理解を育成するものです。
(3)開講科目・修了要件
教職教育研究センターが提供する授業科目として開講します。
プログラムの定員は20〜30名程度とし、授業言語は日本語です。
履修 学年 |
学期 | Program components | 単位 |
1年 | 秋 | Introduction to the International Baccalaureate Diploma Programme as a model of International Education |
2 |
IB概論 | |||
2年 | 春 | Teaching, learning and assessment I | 2 |
IB教育方法論・評価論I | |||
2年 | 秋 | Teaching, learning and assessment II | 2 |
IB教育方法論・評価論II | |||
3年 | 春 | Professional learning | 2 |
IB教育実践研究 |
(4)IB教員認定証取得について
(3)の科目を履修して必要な単位を修得した後に、国際バカロレア教員(International Baccalaureate Educator)としての認定証を国際バカロレア機構(IBO)に申請します。
国際バカロレア教員認定プログラムに入会
↓
関西学院大学国際バカロレア教員養成プログラム履修・修了
↓
国際バカロレア教員認定証申請(US$265)
※IB教員認定証の登録・申請・取消に関する詳細は、国際バカロレア機構(IBO)のウェブサイトをご覧ください。
●IB教員認定証(IB educator certificates)外部のサイトへリンク
●IB教員認定証取得の要件について(Requirements for the IB Educator Certificates)外部のサイトへリンク
よくあるご質問(FAQ)
当面はDPのみを対象とします。 PYP、MYPは開講の可能性がでてきた場合に検討します。
授業の言語は日本語で行います。
認定を受けております。(2018年7月)
2019年4月より「国際バカロレア教員養成プログラム」として開講しています。
いわゆる「一条校」であれば、日本国内の免許が必要です。
日本国内の、いわゆる「一条校」(※)で教壇に立つためには、日本国内の免許法に基づいた教育職員免許状が必要です。インターナショナルスクール等、「一条校」でない場合は、法律上は必ずしも日本国内の免許を求められませんが、それぞれの学校等によって応募資格は異なります。やはり、国際バカロレア教員認定証に加えて、日本国内の免許状を持つことをお勧めします。
(※)一条校とは 文部科学省によるカリキュラムに沿って日本語で学習する、日本の一般的な幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校のこと。
現在はございません。将来的に大学院での開講も検討する予定です。
西宮上ケ原キャンパスと神戸三田キャンパスで開講しています。
キャンパス外でも実習などを実施します。 「IB教育実践研究」ではIB認定校での教育実習があります。その他の科目でもIB認定校での授業見学や、IB教員養成課程をもつ他大学との交流なども実施する予定です。
国際バカロレア教員養成プログラムを履修するための特別な学費は必要ありませんが、履修する上で必要な実費は履修者本人に負担してもらいます。 授業を受講するための費用(教科書代等)の他に想定される費用としては、主に以下となります。
・IB認定校に授業見学に行くための交通費(近畿地区の高等学校等に見学に行く予定です。)
・IB教員養成課程を持つ他大学との交流のための交通費や宿泊費(東京までの交通費や宿泊費)
・教育実習参加のために必要な費用(実習参加費、実習校までの交通費、等)
・国際バカロレア教員認定申請に必要な費用
半年又は1年の留学であれば大丈夫です。 国際バカロレア教員養成プログラムは、最短2年半で修了するプログラムです。 すべての授業科目はセメスター制で開講し、「IB教育方法論・評価論Ⅰ」「IB教育方法論・評価論Ⅱ」「IB教育実践研究」は、春学期・秋学期の両学期に開講しますので、半年又は1年の留学プログラムに参加しても、在学中にプログラムを修了することは可能です。 ただし、本学で実施しているプログラムを複数同時並行して参加している場合は、各プログラムで実施する重要な行事が重複することも起こりえます。
教員志望以外の学生でも、授業内容に関心があれば履修することができます。 「IB概論」1科目だけを履修することも可能です。 ただし、国際バカロレア教員養成プログラムの他の授業科目には先修科目(その授業科目を履修する前に単位を修得しておかなければならない授業科目)が設定されていますので、その条件を満たしていない場合は履修できません。
当面は、科目等履修では開講しません。 現時点では、国際バカロレア教員養成プログラムの授業科目は、「科目等履修生制度」による履修科目には含めない予定です。 本学で国際バカロレア教員認定申請を行う予定の人は、本学を卒業するまでに「国際バカロレア教員養成プログラム」を修了してください。