センターの研究活動(教員紹介・研究紀要)

[ 編集者:教職教育研究センター   2020年6月24日 更新  ]

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 ● センター教員紹介
 ● 研究紀要の発行

センター教員紹介

遠藤 みゆき 准教授(えんどう みゆき)

研究分野のキーワード:国際バカロレア(IB)教育、教育方法学、国語教育

国際バカロレア(International Baccalaureate)は、インターナショナルスクールの生徒がそれぞれの母国に戻っても同じカリキュラムで勉強を続けられるようにという狙いで1968年に創設された国際教育カリキュラムです。4つのプログラムがあり、ディプロマプログラム(DP)は高校最後の2年間で履修するプログラムです。DP資格は大学入学資格として世界の多くの大学で通用します。IBの使命が日本の目指すグローバル人材育成や改訂学習指導要領の目指すところと一致しているところが多いことに着目した文科省は、日本でもIB教育にアクセスできるように環境を整えました。課題もまだありますが、日本語で履修できる科目も多くなりました。IB教育は、教科横断型、教室と外とのつながり、多角的視点や国際的視野の育成、クライテリア準拠評価、全人教育など、今の日本がシフトしていこうとしている教育を創設時からの教育原理として実践してきました。この教育原理に大きな影響を与えている教育学者に、ジョン・デューイ、A・S・ニイル、ジャン・ピアジェ、ジェローム・ブルーナらがいます。
また、IB教育には6つの指導の方法と5つの学習の方法があります。6つの指導方法は、「探究を基盤とした指導」、「概念理解に重点を置いた指導」、「地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導」、「効果的なチームワークと協働を重視する指導」、「全ての学習者のニーズを満たすために差別化した指導」、「評価(形成的評価と総括的評価)を取り入れた指導」です。そして5つの学習の方法は、「思考スキル」、「コミュニケーションスキル」、「社会性スキル」、「自己管理スキル」、「リサーチスキル」です。私の研究は、この国際教育をローカルな文脈でどのように取り入れることができるかについてです。

荻田 純久  准教授(おぎた  よしひさ)

研究分野のキーワード:教育心理学、学校臨床心理学、学校精神保健

これまで様々な教育現場でカウンセリングの仕事を行ってきました。その中で多くの生徒、教師、保護者の方々との出会いがありました。私の研究の原動力は教育現場から頂いたものが多く、今後も出来るだけ現場との関わりをもっていきたいと考えています。
現在は過剰適応について関心をもっています。その理由は以下のとおりです。現在の教育現場には不登校、いじめ、自殺など多くの課題が山積状態となっており、自殺に関しては、その過半数は理由が分かっていません。こうした中で近年では過剰適応が徐々に注目されてきています。過剰適応の児童生徒は、教師等の大人からすると分かりづらいが本人は困難さ等を抱え、苦しんでいることが多く、周囲が気づいた時にはかなり深刻な問題に発展していることもあります。こうした周囲の大人からすると分かりづらい過剰適応の研究を進めていくことで教育現場が直面しているさまざまな課題を解決していくことに貢献できるのではないかと考えているのです。

久保田 真功 准教授(くぼた まこと)

研究分野のキーワード:教育社会学、いじめや非行等の教育問題に関する調査研究

私はこれまで、主にはいじめに関する調査研究を行ってきました。「いじめは絶対に許されない行為である」ということが、よく言われます。子どもたちも、そのことを頭のなかでは理解しているはずです。それにもかかわらず、なぜ子どもたちはいじめをしてしまうのでしょうか。その理由の一つは、学級集団が本来的に備えている制度的な特質にあると考えられます。子どもたちは教室という狭い空間のなかで、年齢は同じであるものの異なる特性(能力や性格、家庭的背景など)をもった他の子どもたちと互いに関わることを求められます。たとえ子どもたちが「この人とは(性格などが)合わないな」と思ったとしても、相手と適切な距離をとって付き合うことが難しい状況にあるわけです。このことを踏まえますと、クラスにおける対人関係上のトラブルやその延長線上にあるいじめを防ぐことは、口で言うほど簡単ではないことがわかるでしょう。その一方で、いじめが起きにくいクラスがある、ということも事実です。それでは、いじめが起きにくいクラスと起きやすいクラスとの違いは何なのか。このことを明らかにすることが、私の主たる研究テーマになります。

小谷 正登 教授(こたに まさと)

研究分野のキーワード:臨床教育、臨床発達心理、生活臨床

現在の日本では、いじめ・不登校・ひきこもり・高校中退・暴力行為などの教育問題が多発しています。その原因は様々考えられますが、その大きなものとして生活環境の変化があげられます。このため、従来の教育学や心理学だけではその克服策を見いだすことが困難になってきました。教育問題の克服には、「対症療法的」な方策だけでは大きな労力と時間が必要です。そこで、生涯発達の視点から予防的な方策を加えれば、問題を未然に防ぐ事も可能となります。そこで、現在の児童・生徒に関わるためには、就学前の子ども達の育ちや生活全体の立て直し(生活臨床)についても学ぶ必要があります。また、人間発達の2側面、非行、いじめ、暴力行為などの反社会的行動や不登校などの非社会的行動に見られるネガティヴな面だけでなく、向社会的(愛他)行動・自尊感情のようなポジティヴな面にも目を向ける事も重要です。以上の視点のもと、約20年間の教職歴をいかして学校教育におけるより実践的な教育活動を共に考察したいと思っています。

澁谷 久  教授(しぶや ひさし)

研究分野のキーワード:数学的教具・学習具,数学教育における観察・実験,マス・フェア

私の研究分野は,算数・数学教育における学習具,観察・実験に関するものが中心です。数学的学習具は,児童・生徒一人ひとりが組み立て,所有,操作することを意識したもので,個人による現物実験という形で自身の経験から行動や認知を変容させるための道具と捉え,児童・生徒にとって主体的に数学をつくり上げ,算数・数学におけるイメージを形成するものです。「もの」から体得する「わかる,たのしい」数学の授業を追究しているのです。「わかる,たのしい!」をちょっとシャッフルして並び替えてみましょう。「わたし,いるのか!」。それは,小学生,中学生,高校生が,自己の存在,すなわち,学習への充実感や自己効力感を感じる学習空間をつくることになります。教育の側面からは,将来教育を担う学生に,数学のよさを伝えるための数学を感覚化する能力,教具・学習具開発能力(ものづくりをする力)を備えさせます。
また,見る数学,触れる数学を多くの方に体験していただくために,「マス・フェア」という取り組みの研究もしています。「マス・フェア」とは,数学の実験を参加者に演示したり,体験させるもので,参加者やその家族に数学を学習する楽しさや数学のよさを感じていただきます。

白銀 夏樹 教授(しろかね なつき)

研究分野のキーワード:教育哲学、教育思想史、道徳教育

「人間形成において大切なものは何か」を哲学的・思想史的アプローチから研究しています。具体的には「アウシュヴィッツ以後の教育」という講演でも知られるドイツの思想家アドルノ(Adorno,Th.W.)の教育観を研究対象としています。人間の豊かな未来を拓く活動である「教育」は、過去の過ちとどのような関係を結ぶことができるのか-この問題を多角的に考察することが研究の主な課題です。
「教育原論」や「道徳教育論」など、学校の教職を志す学生が多く受講する科目を担当しますが、どんな人と人との出会いにも、教育があり、学びがあり、育ちがあります。研究成果の一端を授業の中で紹介することで、学校教員として、そして人として、豊かな人間形成を洞察する手がかりを提供できればと思います。

三上 明洋  教授(みかみ あきひろ)

研究分野のキーワード:教師教育、アクション・リサーチ、英語多読

専門は、英語教育学です。日本の中学・高校・大学における英語の授業実践について研究し、効果的に英語を教育あるいは学習する方法を探っています。理想的な英語授業を実現するために、社会心理学に起源をもち、質的研究手法の1つであるアクション・リサーチの手法を活用しています。英語教師が自らの授業を振り返り、繰り返しその改善を図っていくことによって、教室内の指導を少しずつ改善し、さらにはその小さな改善を日本の英語教育全体の質的向上につなげていきたいと考えています。具体的には英語多読指導法の開発と効果の検証に取り組んでいます。
また、英語教師の養成・研修の在り方についても興味があります。良い授業を実践するためには、教師にはどのような専門的知識・技能が必要とされ、さらにそれを伸ばしていくためにはどのような支援が必要であるのかを探っています。特に、英語教師が自らの授業を振り返るための道具となる質問紙の開発を行っています。この質問紙の開発においては、開発された質問紙が測定しようとしている内容を実際にどの程度測定できているのかという妥当性の問題に注目し、その検証方法についても研究を進めています。

以上 7名