センターの研究活動(教員紹介・研究紀要)

[ 編集者:教職教育研究センター   2019年4月11日 更新  ]

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 ● センター教員紹介
 ● 研究紀要の発行

センター教員紹介

遠藤 みゆき 准教授(えんどう みゆき)

研究分野のキーワード:国際バカロレア(IB)教育、教育方法学、国語教育

国際バカロレア(International Baccalaureate)は、インターナショナルスクールの生徒がそれぞれの母国に戻っても同じカリキュラムで勉強を続けられるようにという狙いで1968年に創設された国際教育カリキュラムです。4つのプログラムがあり、ディプロマプログラム(DP)は高校最後の2年間で履修するプログラムです。DP資格は大学入学資格として世界の多くの大学で通用します。IBの使命が日本の目指すグローバル人材育成や改訂学習指導要領の目指すところと一致しているところが多いことに着目した文科省は、日本でもIB教育にアクセスできるように環境を整えました。課題もまだありますが、日本語で履修できる科目も多くなりました。IB教育は、教科横断型、教室と外とのつながり、多角的視点や国際的視野の育成、クライテリア準拠評価、全人教育など、今の日本がシフトしていこうとしている教育を創設時からの教育原理として実践してきました。この教育原理に大きな影響を与えている教育学者に、ジョン・デューイ、A・S・ニイル、ジャン・ピアジェ、ジェローム・ブルーナらがいます。
また、IB教育には6つの指導の方法と5つの学習の方法があります。6つの指導方法は、「探究を基盤とした指導」、「概念理解に重点を置いた指導」、「地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導」、「効果的なチームワークと協働を重視する指導」、「全ての学習者のニーズを満たすために差別化した指導」、「評価(形成的評価と総括的評価)を取り入れた指導」です。そして5つの学習の方法は、「思考スキル」、「コミュニケーションスキル」、「社会性スキル」、「自己管理スキル」、「リサーチスキル」です。私の研究は、この国際教育をローカルな文脈でどのように取り入れることができるかについてです。

大喜多 喜夫 教授(おおきた よしお)

研究分野のキーワード:英語教育、応用言語学、4技能の育成

英語教育に関する理論と実践を研究テーマとしています。理論面では、ここ30年から40年の英語教育の変遷の背景で構築されていた言語学習理論に興味を持っています。平成元年の学習指導要領の改訂以来、コミュニケーション能力の育成を目指した学習形態が重視されるようになりました。英語教育をこのように変容させるに至った、これまでの応用言語学における学問的な業績や研究の動向を知ることは、中・高等学校の英語教員を目指す人には大切なことだと思われます。
 実践面では、英語学習にかかわる4技能の育成を目指す学習活動にはどのようなものがあるのかに関心があります。これまでの文法・読解能力の育成を中心にした学習形態に、聞く・話す・書く能力の育成を目指す学習形態をどう取り入れ、コミュニケーション能力の育成に結びつけるかが、これからの課題だと考えられます。

片岡 啓 教授(かたおか けい)

研究分野のキーワード:中等数学教育、数学教育史、算数教育

中等数学教育の歴史を中心に研究しています。明治以降の我が国の中等教育は、太平洋戦争までの、義務教育ではない「旧制」の時代と、戦後の中学校(義務教育)並びに高等学校からなる時期に大きく分けられます。旧制の時代の数学教育は明治期に多大な努力を払って「西洋数学」に基づいて確立され、種々の分野で近代化する改革の取り組みがあり、戦時中に学習内容の大変革を経験します。旧制中学校や高等女学校、実業学校、師範学校などにおいてどのように内容が確立し、改革されたのか。教育課程などの制度のみならず、実際に用いられた印刷物やノート類など実物資料を通して明らかにしようとしています。謙虚に歴史を学ぶことは、今日の教育実践を考える上に必ず役立つものと考えています。

久保田 真功 准教授(くぼた まこと)

研究分野のキーワード:教育社会学、いじめや非行等の教育問題に関する調査研究

私はこれまで、主にはいじめに関する調査研究を行ってきました。「いじめは絶対に許されない行為である」ということが、よく言われます。子どもたちも、そのことを頭のなかでは理解しているはずです。それにもかかわらず、なぜ子どもたちはいじめをしてしまうのでしょうか。その理由の一つは、学級集団が本来的に備えている制度的な特質にあると考えられます。子どもたちは教室という狭い空間のなかで、年齢は同じであるものの異なる特性(能力や性格、家庭的背景など)をもった他の子どもたちと互いに関わることを求められます。たとえ子どもたちが「この人とは(性格などが)合わないな」と思ったとしても、相手と適切な距離をとって付き合うことが難しい状況にあるわけです。このことを踏まえますと、クラスにおける対人関係上のトラブルやその延長線上にあるいじめを防ぐことは、口で言うほど簡単ではないことがわかるでしょう。その一方で、いじめが起きにくいクラスがある、ということも事実です。それでは、いじめが起きにくいクラスと起きやすいクラスとの違いは何なのか。このことを明らかにすることが、私の主たる研究テーマになります。

小谷 正登 教授(こたに まさと)

研究分野のキーワード:臨床教育、臨床発達心理、生活臨床

現在の日本では、いじめ・不登校・ひきこもり・高校中退・暴力行為などの教育問題が多発しています。その原因は様々考えられますが、その大きなものとして生活環境の変化があげられます。このため、従来の教育学や心理学だけではその克服策を見いだすことが困難になってきました。教育問題の克服には、「対症療法的」な方策だけでは大きな労力と時間が必要です。そこで、生涯発達の視点から予防的な方策を加えれば、問題を未然に防ぐ事も可能となります。そこで、現在の児童・生徒に関わるためには、就学前の子ども達の育ちや生活全体の立て直し(生活臨床)についても学ぶ必要があります。また、人間発達の2側面、非行、いじめ、暴力行為などの反社会的行動や不登校などの非社会的行動に見られるネガティヴな面だけでなく、向社会的(愛他)行動・自尊感情のようなポジティヴな面にも目を向ける事も重要です。以上の視点のもと、約20年間の教職歴をいかして学校教育におけるより実践的な教育活動を共に考察したいと思っています。

白銀 夏樹 教授(しろかね なつき)

研究分野のキーワード:教育哲学、教育思想史、道徳教育

「人間形成において大切なものは何か」を哲学的・思想史的アプローチから研究しています。具体的には「アウシュヴィッツ以後の教育」という講演でも知られるドイツの思想家アドルノ(Adorno,Th.W.)の教育観を研究対象としています。人間の豊かな未来を拓く活動である「教育」は、過去の過ちとどのような関係を結ぶことができるのか-この問題を多角的に考察することが研究の主な課題です。
「教育原論」や「道徳教育論」など、学校の教職を志す学生が多く受講する科目を担当しますが、どんな人と人との出会いにも、教育があり、学びがあり、育ちがあります。研究成果の一端を授業の中で紹介することで、学校教員として、そして人として、豊かな人間形成を洞察する手がかりを提供できればと思います。

善明 宣夫 教授(ぜんみょう のぶお)

研究分野のキーワード:パーソナリティ心理学、硬さ、ロキーチ

パーソナリティ心理学を専攻していますが、最近は特にパーソナリティの硬さ(rigidity)という問題に興味を持っています。私達は人のパーソナリティを評価する際に、“あの人は硬い”というような言い方をよくします。しかし、一概に“硬い”といっても、そこには思考様式の硬さや感情表出の硬さ、また粘着性といった意志・意欲的な面での硬さ等、さまざまな表出形態がみられます。また硬さは新しい事柄の学習を阻む要因となったり、偏見やステレオタイプを持続させる原因の一つであったり、場合によっては強迫神経症とよばれる精神病理の特徴としてみられることもあります。このような硬さが状況的なものなのか、それとも一貫したものなのか、もしも一貫したものであるとすれば、それはどのようなパーソナリティ構造によってもたらされるのか、というような問題についてミルトン・ロキーチという心理学者の理論を中心に研究しています。

以上 7名