2017.02.17.
「ベリー曲率ゼロのトポロジカル物質相の理論」-トポロジカル状態を有する新しい物質群の設計・探索への応用に期待-
若林克法・理工学部先進ナノエネルギー工学科教授とFeng Liu(フェン・リュウ)博士研究員は、トポロジカル状態を有する物質(以下、トポロジカル物質)を設計する新しい理論を提案いたしました。トポロジカル物質では、物質の表面やエッジなどの境界面において、無散逸な電流やスピン流が現れ、超低消費電力の電子素子や量子計算素子への応用が期待されています。そのため、近年トポロジカル物質の探索が理論および実験の両面から活発に研究が行われています。従来の研究では、ベリー曲率とよばれるトポロジカル量が有限になる物質で、トポロジカル状態が発現することが知られていました。しかし、本研究では、たとえベリー曲率がゼロであっても、ザック位相と呼ばれる別のトポロジカル量が有限であれば、トポロジカル特性が発現することを解明しました。この理論により、トポロジカル特性をもつ新たな物質群の設計や探索、合成が今後期待されます。
この研究成果は2月16日(米国東部時間)に物理学で最も権威のある学術誌「Physical Review Letters」に掲載されました。本研究は一部、文部科学省科学研究費補助金の新学術領域研究「原子層科学」から援助を受けています。
詳細は以下のプレスリリースをご参照ください。