2016.02.15.
最高レベルの発光効率と色純度を持つ有機ELディスプレー用青色発光材料を開発

 畠山琢次・理工学部准教授らの研究グループはJST 戦略的創造研究推進事業において、最高レベルの発光効率(電気を光に変換する効率)と色純度を持つ有機ELディスプレー用青色発光材料の開発に成功しました。
 有機ELディスプレーは、液晶ディスプレーに代わる次世代のフラットパネルディスプレーとして実用化が進んでいます。有機ELディスプレー用の発光材料としては、現在、蛍光材料、りん光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料の3種類が利用されています。しかし、蛍光材料は発光効率が低いという問題があり、りん光材料とTADF材料は、発光効率は高いものの発光の色純度が低いという問題がありました。色純度が低いと、ディスプレーに使用する際に、発光スペクトルから不必要な色を除去して色純度を向上させる必要があり、トータルでの効率が大きく低下してしまうため、色純度の高い発光材料の開発が望まれていました。
 畠山准教授は、発光分子の適切な位置にホウ素と窒素を導入し、共鳴効果を重ね合わせることで、世界最高レベルの色純度を持ちながら発光効率が最大で100%に達するTADF材料DABNAの開発に成功しました。
 DABNAは、ホウ素、窒素、炭素、水素というありふれた元素のみからなり、市販の原材料から短工程で合成できることから、理想的な有機ELディスプレー用の発光材料として近い将来での実用化が期待されます。また、ホウ素と窒素の多重共鳴効果を用いる分子デザインは、今後の有機EL材料開発の新たな設計指針になると期待されます。
 本研究成果は、2016年2月11日(英国時間)に独国科学誌「Advanced Materials」のオンライン速報版で公開されました。

<論文タイトル>

“Ultrapure Blue Thermally Activated Delayed Fluorescence Molecules: Efficient HOMO–LUMO Separation by the Multiple Resonance Effect”
(超高純度青色熱活性化遅延蛍光材料:多重共鳴効果による効率的なHOMO-LUMO分離)


詳細は以下のリンクを参照ください。

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST) 外部サイトへのリンク