2024.09.06.
関西学院大学災害復興制度研究所が 阪神・淡路大震災30年祈念事業・研究を展開

2025年1月11・12日には復興減災フォーラムを開催予定

関西学院大学災害復興制度研究所(兵庫県西宮市、所長:山 泰幸)は、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災から30年となる2025年を前に、祈念事業および研究を開始します。阪神・淡路大震災30年の遺産、教訓を抽出する調査や「創造的復興の意味」を探るアンケート調査を行うほか、震災復興や被災者支援に尽力してきた人々へのインタビュー動画をアーカイブとして保存・公開。また、来年1月11日(土)・12日(日)には、復興減災フォーラムの開催を予定しています。

関西学院大学では、阪神・淡路大震災の被災地である西宮にある大学として、学生を中心としたボランティア活動や教員による復旧・復興の研究を震災直後から行ってきました。2004年1月には全学的な試みとして「災害復興制度研究プロジェクト」がスタートし、2005年1月17日に独立した研究所として「災害復興制度研究所」が誕生しました。
今年1月、阪神・淡路大震災から30年となる2025年を前に、能登半島地震が発生。しかし、その復興の過程において過去の教訓が十分に生かされているとは必ずしも言えず、被災地を否定するような言説すら見られました。
このように、阪神・淡路大震災の"遺産"が30年の経過とともに変質し、消滅すらしようとしている一方で、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の到来が懸念されています。このたびの事業と研究計画は、現状に至る負の経緯を検証するとともに、災害復興の思想を再構築して、未災地への提言・教訓にすることを目的として行われます。
 

関西学院大学災害復興制度研究所事業・研究計画

阪神・淡路大震災の遺産・教訓をアーカイブとして保存・公開する動画配信

災害復興制度研究所では、来年1月に阪神・淡路大震災から30年を迎えるにあたって、震災復興や被災者支援に力を尽くしてきた、いわゆる「震災レジェンド」の人々にディープインタビューを実施。それぞれが「なし得たこと」とは何か、それが今はどうなっているのか、これからの災害多発時代に向けて神戸と周辺地域はどのような「被災地責任」を果たすべきかといった点を聞き取り、動画アーカイブとして永久保存。併せてわが国の災害文化に貢献するため、YouTubeや紙媒体でその発言内容を伝えていきます。

【計 画】
9月17日(火)に第1回を災害復興制度研究所公式YouTubeチャンネルで配信予定です。その後も毎月、阪神・淡路大震災の月命日にあたる17日にアップし、震災から30年を迎える来年いっぱい配信していく予定です。
現在、撮影の終了した、あるいは撮影が決まっている方々は以下の通りです。
【インタビュー】(今後随時追加予定、変更の可能性有)
兵庫県前知事 井戸 敏三氏、元兵庫県副知事・初代防災監 齋藤 富雄氏、前宝塚市長・元衆院議員 中川 智子氏、前尼崎市長・元兵庫県議会議員 稲村 和美氏、被災地NGO恊働センター顧問 村井 雅清氏、神戸大学名誉教授・元関西学院大学災害復興制度研究所所長 室﨑 益輝氏、元コープ神戸理事長 山口 一史氏、元よろず相談室主宰 牧 秀一氏、元朝日新聞編集委員・元関西学院大学災害復興制度研究所主任研究員 山中 茂樹氏、兵庫県震災復興研究センター事務局長 出口 俊一氏、特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティーファウンダー 能島 裕介氏、認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸理事長 中村 順子氏、特定非営利活動法人神戸まちづくり研究所理事長 野崎 隆一氏 など(順不同)

関西学院大学災害復興制度研究所 公式YouTubeチャンネルはこちら
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阪神・淡路大震災30年の遺産、教訓を抽出する調査

1995年1月17日に発生し、6400余名の犠牲者を出した阪神・淡路大震災の「遺産」「教訓」を今一度抽出するための、二つの調査を実施予定です。また、ディープインタビューも実施します。
調査は、関西在住の研究者や実務家を対象にした被災地・被災者責任調査と、関西以外の研究者・実務家を対象にしたキーワード調査からなります。なお、調査結果については、11月初旬に公開のZoom研究会を開催し、報告する予定です。また、日本災害復興学会の学会誌に結果をまとめて出稿。学会誌への掲載を目指します。

①被災地・被災者責任調査
「被災者責任」あるいは「被災地責任」という言葉は、通常、庇護されるべき被災者、同情や思いやりの対象となるはずの被災地に「責任を果たせ」と迫ります。被災者・被災地にとっての「責任」や、責任を果たすべき「使命」とは何でしょうか。被災地となった神戸ならびに周辺地域では、その問いに答えようとした人が少なからずいました。その人たちが果たした「被災者責任」とは、また、果たせなかった「被災地責任」とは、それぞれどのようなものだったのでしょうか。改めて過去に向き合い、未来に視線を投じて、2つの「責任」を考えることにより、わが国の災害史における阪神・淡路大震災の位置づけと、神戸など同震災の被災地がこれからの未災地に向けて果たすべき役割を考えます。

②キーワード調査
阪神・淡路大震災を象徴する言葉を3つ挙げてもらい、回答が多かったものをキーワードとして同震災の歴史的位置づけを探り、今後の災害復興研究の道筋を検討します。

2025年1月11~12日:阪神・淡路大震災30年記念 復興減災フォーラム

○円卓カフェ(1月11日(土)13:00~17:30)一般参加可能
【会場】 関西学院会館レセプションホール
【テーマ】「KOBEからのメッセージ 私たちが遺すべきもの」
 1.阪神30年研究チーム
 2.阪神・淡路大震災30年震災レジェンド
 3.能登半島地震関係者
 4.東日本大震災 原発避難者
 5.関西学院大学災害復興制度研究所関係者
【司 会】 山 泰幸氏(関西学院大学災害復興制度研究所所長)

○シンポジウム(1月12日(日)13:00~17:00)一般参加可能
【会場】 関西学院会館レセプションホール
【テーマ】「KOBEからのメッセージ 私たちが遺すべきもの」(仮題)
【特別講演】 玄 順恵氏(小田実夫人)
【基調講演】 室崎 益輝氏(神戸大学名誉教授)
【パネリスト】
・山 泰幸氏(関西学院大学災害復興制度研究所所長)<研究所20年の歩み>
・齋藤 富雄氏(兵庫県元副知事、初代防災監)
・稲村 和美氏(前尼崎市長、神戸大学総合ボランティアセンター創設)
・山中 茂樹氏(関西学院大学災害復興制度研究所顧問)
【司 会】 大牟田 智佐子氏(毎日放送、兵庫県立大学)
【閉会のあいさつ・まとめ】 岡田 憲夫氏(関西学院大学復興制度研究所顧問)

「創造的復興の意味」を探るアンケート調査

阪神・淡路大震災で当時の貝原 俊民兵庫県知事が「創造的復興」を提唱したきっかけは何だったのでしょうか。「創造的復興」という理念の持つ意味とは何でしょうか。東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震と「創造的復興」は復興のゴールとして掲げられたが、その実相は今一つ明らかでありません。47都道府県知事は「創造的復興」という理念をどう認識しているのか、復興のゴールポストを決めるための理念は揺らいではいないか。そうした点についてアンケートで探ります。年内の実施を予定しています。

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【プレスリリース】関西学院大学災害復興制度研究所が 阪神・淡路大震災30年祈念事業・研究を展開PDFリンク