2024.05.22.
建築学部・石榑督和准教授と学生が 戦時中の金属供出で失われた時計台内部手すりの アイアンワーク木製模型を制作

【ヴォーリズ建築】 戦時中に失われたアイアンワークを復元!

関西学院大学(兵庫県西宮市、学長:森康俊)建築学部 石榑督和 准教授(専門:建築歴史・意匠)および同准教授研究室所属 建築学部4年生 安澤広晟さん、芳村海渡さんは、戦時中の金属供出で失われた関西学院大学時計台内部手すりに施されたアイアンワークの木製模型を制作しています。関西学院大学の校舎群はW. M. ヴォーリズ(William Merrell Vories, 1880-1964)が設計したことで知られていますが、今回制作に参加している安澤さんの曽祖父 安澤松兵衛さんは、同じくヴォーリズが設計した旧豊郷小学校(豊郷町石畑518番地、国の登録有形文化財)校長を務めていました(在任期間:1950〜1964年)。幼少のころから同小学校を見学していた安澤さんは「自分もヴォーリズ建築に関わりたい」と思い、制作に参加しました。現在は手すりの実測調査を終え、復元図の作図工程に入っています。木製模型は9月20日(金)に設置され、9月28日(土)から公開される予定です。本リリース末尾に記載されている制作途中のご取材・撮影も可能です。

関西学院大学時計台と戦時中の金属供出

1929年、関西学院は創立の地である原田の森(現・神戸市灘区)から、西宮上ケ原キャンパスへ移転。原田の森時代に続き、W. M. ヴォーリズ(William Merrell Vories, 1880-1964)率いるヴォーリズ建築事務所が校舎の設計を行いました。当時は図書館として、2014年からは大学博物館として使用されている西宮上ケ原キャンパスの時計台内部の手すり23か所には、もともとアイアンワーク(鉄の装飾、写真1)が施されていました。しかし、戦時中の金属供出により、現在も失われたままになっています。(写真2)

(写真1、1934年当時のアイアンワーク 関西学院大学学院史編纂室所蔵)
(写真2、アイアンワークが失われた現在の手すり)

アイアンワーク復元プロジェクト

このアイアンワーク23か所を復元するために、大学博物館はアイアンワーク復元プロジェクトを立ち上げています。関西学院のヴォーリズ建築を紹介する展覧会がはじまる9月28日(土)から寄付金を募集し、目標額550万円を達成し次第、鋳造・設置予定で、学院創立140周年となる2029年までの設置を目指しています。戦時中に失われたアイアンワークを復元することで、平和への想いを共有することをねらいとしています。また、時計台を竣工当時の姿に近づけ、学院の歴史に想いを馳せてもらうほか、装飾の復元による来館者の安全確保も目的としています。

木製模型の制作

このプロジェクトを周知するため、大学博物館は建築学部ヴォーリズ研究センターに木製模型の制作を依頼しました。アイアンワーク実物に似せた木製模型を手すりに設置することで、アイアンワーク復元の機運を高める狙いです。手すりへの設置は9月20日(金)を予定しています。9月28日(土)から開催する企画展「天を見あげて–関西学院のヴォーリズ建築–」の展示資料として設置することで、今回のプロジェクトへの注目を集めたいと考えています。制作は、関西学院大学建築学部 石榑督和 准教授(専門:建築歴史・意匠)および同准教授研究室に所属する建築学部4年生 安澤広晟さん、芳村海渡さんが担当。特に、安澤さんの曽祖父 安澤松兵衛さんはヴォーリズが設計した旧豊郷小学校(豊郷町石畑518番地、国の登録有形文化財)校長を務めており(在任期間:1950〜1964年)、安澤さんは幼いころから同小学校へ見学に訪れていました。安澤さんは「自分も曽祖父と関わりの深いヴォーリズ建築の制作に携わりたいと思い、参加した」と話しています。現在は手すりの実測調査を終え、復元図の作図工程を進めている段階です。なお、アイアンワークが失われて穴となっている部分は全部で23か所ですが、木製模型は13か所分を制作します。石榑准教授は今回の木製模型制作について、「キャンパスの建築文化継承に新設の建築学部※の学生たちが復元模型制作で寄与できることは素晴らしいこと」と話しています。
※2021年4月開設

今後の予定

6月13日(木) 合板模型を博物館に持ち込んで微調整
6月27日(木) 模型仮設置・撮影
9月20日(金) 手すりへの設置
9月28日(土) 公開
いずれも時計台内部で作業。

【ヴォーリズ建築】戦時中に失われたアイアンワークを復元!
建築学部・石榑督和准教授と学生が戦時中の金属供出で失われた時計台内部手すりのアイアンワーク木製模型を制作