2024.01.31.
社会学部・ベネディクトゼミが「生と死を見つめる」をテーマに和歌山県白浜町でフィールドワークを実施

ベネディクト ティモシー・社会学部准教授のゼミは、2023年10月28日(土)と29日(日)に和歌山県白浜町でフィールドワークを実施し、2024年1月18日(木)に和歌山県庁で職員への調査報告を行いました。
ベネディクトゼミは “Exploring Life and Death(生と死を見つめる)” をテーマに研究を行っており、ゼミに所属する3年生6人が白浜町を訪問。同町が取り組む自殺防止策や、自殺未遂者へのアフターケアについての調査を行いました。

なお、このたびの活動は、本学と和歌山県が2023年7月に包括連携協定を締結したことをきっかけに実現し、連携項目を具現化する初の取組みとなりました。

10月のフィールドワークでは、まず白浜バプテストキリスト教会を訪問し、牧師で白浜レスキューネットワーク理事長の藤藪庸一さんにインタビューを実施。社会から孤立してしまった人々を受け入れ、自立に向けてケアを行うなど、教会の献身的な取組みを学びました。「自分は特別なことをしていない」「何もかも完璧にしようとは考えていない。とにかくやってみる」という藤藪さんの言葉に、学生たちは感銘を受けた様子でした。
そのほか、自然景勝地であり自殺志願者が訪れる場所としても知られる三段壁に行き、人命を救済するために設置された「いのちの電話」を視察したり、自殺未遂者の職業訓練を行っている「まちなかキッチン」を訪ねて関係者へのインタビューを実施しました。
その後、ゼミ生は調査内容をもとに政策の考案に取り組みました。1月の報告会では「自殺未遂者のアフターケア ~白浜モデルから学ぶ~」というテーマで、白浜町の取組みをほかの地域へ適用できないかという観点でプレゼンテーションを実施。白浜町における取組みを「コミュニティ」「リーダー」「サポーター」「理念」という4つの要素で分析し、アフターケアを構成する人々や団体の関わり合い、共通する考えや思いなどを紐解きました。
報告会に参加した和歌山県障害福祉課の湯子晟吾さんは「『生と死』というテーマに真摯に向き合う関西学院大学の皆さんの姿はすばらしかった」と、学生たちの姿勢を称えました。
社会学部3年生の塩崎江里ささんは「現代はコミュニティが拡散していて孤立してしまう人が多く、負担が個人にのしかかるようになり、心の障害として自殺に繋がりやすいと聞いた。コミュニティの重要性をもっと世の中に知ってほしい」と話しました。
ベネディクト准教授は今回の取組みを振り返り、「フィールドワークを通して、学生は自殺未遂者へのアフターケアの大切さに気づくことができた。また、アフターケアをほかの地域でも実施するためにどのような条件が必要なのかについて自ら考えて提案をすることができた」と語りました。