2023.06.21.
太陽光を利用する電子触媒反応が拓く新たなサステイナブルケミストリー

本研究成果のポイント

○豊富に存在する太陽光エネルギーの利用で、キナーゼ阻害剤などの医薬品の有用化合物を簡便に合成することが可能に
○希少な遷移金属を用いないクロスカップリング反応
○過長寿命トリプレット活性種の関与

概要

グリーンケミストリーやサステイナブルケミストリーの観点から、電子触媒は遷移金属触媒よりも遙かに望ましいが、その実現には100℃を超える高温が必要であった。関西学院大学生命環境学部の白川英二、広島大学大学院先進理工系科学研究科の安倍学教授らの研究グループは、太陽光に応答する光レドックス触媒により、アリール亜鉛反応剤とハロゲン化アリールの電子触媒根岸クロスカップリング反応が、室温で進行することを見出した。また、光レドックス触媒のみならず、アニオンラジカル中間体の光励起が、室温での電子触媒反応を可能にする鍵になっていることを明らかにした。この発見により、これまでその適用範囲に制限があった電子触媒の利用が広範囲に広がり、多くの有用化合物の合成が簡便にできるようになった。
本研究成果は、Science Advances誌に 2023年5月31日にオンライン掲載された。

今後の展開

本研究で見出されたBDAを助触媒とする電子触媒反応は、太陽光を利用することで、有用化合物を室温で簡便に合成することができる。豊富に存在する太陽光エネルギーを用いる物質変換反応を工場レベルでの合成プロセスに移行することによって、持続可能な社会の発展に繋げることができる。

【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
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FAX: 082-424-7432
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関西学院大学 生命環境学部 環境応用化学科 白川 英二
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(共同リリース・関西学院)太陽光を利用する電子触媒反応が拓く新たなサステイナブルケミストリーPDFリンク