2023.04.06.
神戸市とSDGs連携シンポジウムを共催

市職員・大学生・中高生らがパネルディスカッションで意見交換

2月26日、神戸市と関西学院大学が共同し、よみうり神戸ホール(神戸市中央区)にて、SDGs連携シンポジウム「次世代が地域と創るSDGs~私たちが提言する神戸の未来~」を開催しました。本シンポジウムは、神戸市内での活動実績を有する本学学生団体の成果発表の場として企画され、当日は100名を超える参加者が会場に集い、活発な意見交換や交流を行いました。

基調講演を行う坂野氏

基調講演を行う坂野氏

シンポジウム前半では、久元喜造氏(神戸市長)ならびに村田治(関西学院大学学長 [当時])による開会挨拶の後、坂野晶氏( 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事、2019年ダボス会議共同議長)が基調講演を行いました。廃棄物削減の仕組みづくりを推進する坂野氏は、徳島県上勝町や島根県雲南市での自治体との連携事例や、理事・共同代表を務める 一般社団法人Green innvotion の脱炭素人材育成プロジェクトなどを紹介しました。坂野氏は、「SDGsや脱炭素は非常にスケールの大きいことで、2030年や2050年と聞いても想像がつきにくい。未来を見ることはできないが、現在の我々の取り組みの延長線上にしか未来はできないからこそ、目の前の今をつくってゆくことに日々取り組んでいる」と結びました。

続いて、辻英之氏(神戸市企画調整局長 ※「辻」は正しくは一点しんにょう)と志甫啓(関西学院大学学長補佐・国際学部教授)が双方のSDGsに関する取り組みを紹介した後、学生団体が神戸市内での連携事例および神戸市に対する政策提言を発表しました。①「SDGsを自分ごとに」をモットーに、神戸市内外で多様な啓発活動に取り組む「 KAKEHASHI 」、② Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMY から生まれた、食品ロスに取り組む学生団体「neumond」(事業名:「 あすぱん. 」)、③神戸市北区を拠点に里山の再生などに取り組む「 Re.colab KOBE 」の3団体が登壇しました。

KAKEHASHIの登壇学生は、三宮本通商店街との連携によるロスフラワー展(廃棄される花に関する理解促進のための動画制作・上映)とNPO法人神戸海さくらとの連携による須磨海岸の清掃活動を紹介しました、また、神戸市に対して、より緊密に学生とSDGsを推進するために、学生向けの「神戸SDGsスポットツアー」の構想を提言しました。

neumondの登壇学生は、神戸市内のパン屋との連携による廃棄パン削減事業を紹介しました。本事業は、廃棄予定の売れ残りパンを複数の店舗から回収し、その詰め合わせを廉価で販売することで、食品ロスの削減に貢献するというものです。学生は、食品ロスに対する問題意識から、神戸市に対して、小中学校の給食から出る廃棄野菜を校内の「段ボールコンポスト」で堆肥化し、市内の農家に堆肥を提供することを提言しました。

Re.colab KOBEの登壇学生は、神戸市北区の耕作放棄地での里山の再生に向けた取り組みを紹介しました。また、再生可能エネルギーを利用した農機具の導入などにより、「ゼロカーボン・ファーム」の実現を目指す計画なども紹介しました。学生は、農業に関する専門的な知識が不足しているという問題意識から、神戸市に対して、農業従事者との公的な交流の場を新たに設けることなどを提言しました。

シンポジウム後半のパネルディスカッションでは、松村淳(関西学院大学社会学部准教授[当時])を進行役として、辻神戸市企画調整局長と学生たちが、今後の神戸市におけるSDGs推進案について意見交換を行いました。発表を行った大学生3名に加えて、関西学院大学の継続校で、神戸市須磨区に所在する 啓明学院中学校・高等学校 の生徒2名が登壇しました。大学生3名からは、「実績のない段階で企業と連携して取り組みたい場合、信頼を得ることが課題となる」、「専門家のいない中で、次のステップに進むための目標設定が難しい」など、様々な課題が共有されました。辻局長は「今まではSDGsの活動そのものの方に目が向いていて、活動を行う人のフォローが充分にできてはいなかった。神戸市で推進しているSDGs関連の事業については、例えば対象がNPO団体や地域団体に限られているものがあるが、今後は、意欲のある学生の活動・団体運営にも適用できるような視点をもっと我々も持つべきだと認識した」と所感を述べました。

シンポジウムの終盤では、服部博明氏(神戸経済同友会会長・みなと銀行会長)が閉会の挨拶を行いました。

当日は、 神戸市YouTubeチャンネル 上でライブ配信を行いました。また、3月31日までの期間限定でアーカイブ動画も公開し、多くの方々にシンポジウムをご視聴いただきました。

【関連リンク】

神戸市note記事「【関学とのシンポジウム】SDGsをする人自身の“持続可能性”は大丈夫?」                                                                   

本学プレスリリース「脱炭素演習科目を全学向けに初めて開講、次世代のGX人材を育成」(坂野氏との連携)