2022.03.10.
ヴォーリズ建築を通じ、滋賀県・近江八幡市と連携協定締結
建築物の研究・保存、建築物を生かした地域の観光振興・地域活性化等を目指す
関西学院大学は3月9日、滋賀県ならびに近江八幡市と、「ヴォーリズ建築等を通じた連携協定」を締結しました。本学は西宮上ケ原キャンパスがウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880-1964)による全体計画で建設され、大学全体としてヴォーリズ建築を学びと探求の場として受け継いでいます。一方で、滋賀県、近江八幡市はヴォーリズが生涯にわたって居住し、社会奉仕事業などに尽くした地であり、関係する建築物が多数残っています。こうしたヴォーリズを通じたつながりから、研究と保存、さらには観光振興・人材育成・地域活性化などに連携して取り組もうと合意したものです。今後は、相互に協力しながら、さまざまな分野で協働事業を進めていきます。
連携協定は、①ヴォーリズ建築の研究と保存②ヴォーリズ建築を活かした地域活性化・観光振興③ヴォーリズを通じた教育・交流――の3項目。協定締結にあたり、村田治学長は「滋賀県、近江八幡市は、ヴォーリズが拠点として活躍した地です。近江八幡市には多くのヴォーリズ建築が現存しています。その建築等を通じ、地域活性化と人材育成に三者で取り組むとともに、関西学院大学としてもヴォーリズ建築の保存に積極的に取り組んでまいりたい」と説明。滋賀県の三日月大造知事は「今年は滋賀県の県政150周年目の節目。歴史を振り返り、未来に向けた知恵・光をあてたいと考えている。ヴォーリズ建築を生かした交流だけでなく、ポストコロナに向けた展開を一緒に進めていきたい」と期待を述べ、小西理・近江八幡市長は「文化を創造するような、新たな価値の研究を発展させたい」と話しました。
ヴォーリズは、キリスト教伝道を目的に1905年1月29日に来日。近江商人の士官学校といわれた滋賀県立商業高校(現・滋賀県立八幡商業高校)で英語教師として働くため、同年2月に近江八幡に着任しました。以降、83歳の生涯を終えるまで近江八幡に留まり、キリスト教の伝道と教えに基づく社会教育、出版、医療、学校教育などに携わりました。また、建築家としては、アメリカ西海岸に見られるスパニッシュ・ミッション・スタイルを建築デザインの特徴としながら、日本人の住まいや慣習などにも配慮した建築物を数多残しました。主なものには、大丸心斎橋店(大阪市)、東華菜館(京都市)などがあり、20世紀の日本の近代化に貢献した人物として知られています。
関西学院大学では協定に先駆け、来日した日とされる1月29日、建築学部内に「ヴォーリズ研究センター」(代表=角野幸博・建築学部長)を開設しました。ヴォーリズの作品、思想、信仰を学術的に検証することが目的で、今後は、膨大な建築資料のデジタルアーカイブ化、および新たな視点と手法の導入による研究のさらなる深化、建築物を通した教育貢献・地域貢献に取り組んでいく予定です。
今回の協定とは別に、学校法人関西学院は2019 年12 月、学校法人ヴォーリズ学園、公益財団法人近江兄弟社、株式会社近江兄弟社、株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所など近江兄弟社グループ6 法人との間で、社会貢献や相互交流等に関する包括連携協定を締結しています。
※ヴォーリズ研究センター
https://www.kwansei.ac.jp/s_architecture/vories_rc