神学部 柳澤ゼミ

[ 編集者:広報室       2015年5月13日 更新  ]

ゼミの様子

ゼミの様子

宗教が教える援助や協力が人の成長過程で育まれることを証明する

柳澤 田実 准教授

柳澤准教授

柳澤准教授

 「倫理的実践」をテーマに、「宗教が教える援助や協力が人の成長するどの段階で育まれるのか」を研究しています。
 キリスト教が隣人愛を教えるように、私たちは宗教から他者への配慮や無条件の援助を教わります。一方で、宗教に影響されていなくても、多くの人がさまざまな助け合いを行っています。座席を譲ることや災害後のボランティアはその例です。これは、相手の状態を見て判断する「視点」と、相手に何をするのかという「行為」のパターンを、成長過程のどこかで自然と学習しているからです。また援助や協力を実践する上で「行為の目的を共有すること」が条件になっていると考えられています。私は宗教が教える奉仕と、自然と身につける援助行為の習得の両過程に注目し、その関連性を調べています。
 その一環で、幼児のかけっこを観察しています。倫理的実践に行き着く前段階ですが、かけっこを通じて「目的と共有」が育まれる時期を析出しようとしています。幼児は常に元気いっぱい走り回っています。ですが同じ走る行為でも、徒競走になると別。ゴールに向かう「目的」、誰かと走る「共有」の認知が必要で、3、4歳になってようやくそのような認知が生じているように見えます。このように「視点/視知覚」「行為」「目的」「共有」といった倫理的実践に必要な要素がどの段階で、何を体験して育まれるのかを、一つ一つ解明しています。ゆくゆくは、理想論と思われがちな宗教の教える無条件の援助が、人の成長過程で自然と育まれている可能性を証明できればと思っています。
 私は生態心理学と哲学を応用し、キリスト教の思想や芸術も題材にする学際的な研究を行っています。領域にとらわれない柔軟な姿勢は、社会で生活する上でも重要です。学生には人がどう生きるべきかを問う倫理と美しさに関わる芸術の両方に関心を持って、成長してほしいです。

ヴォーリズ建築が阪神間に受け入れられる理由を探る

阿部 愛さん(神学部4年生)

阿部さん

阿部さん

 柳澤ゼミでは絵画、建築、映像、比較宗教など、各自がキリスト教に関する分野を研究。私のテーマは「ヴォーリズ建築と阪神間の文化の関係性」です。W・M・ヴォーリズの住宅建築が今も阪神間に受け入れられている理由を探っています。
 私は、キリスト教の「広場概念」をヴォーリズ建築の特徴の一つだと推測しています。「広場概念は、ヴォーリズの住宅建築にリビングとして生かされているのでは」「団らんを楽しむリビングが、余暇を過ごすことで発展した阪神間で受け入れられたのでは」と考え、実証に励んでいます。文献や平面分析の事例がほとんどないので、図面や当時の文化的資料とにらみ合いながら研究しています。
 柳澤ゼミはみんな研究熱心。何でも指摘し合える良い仲間です。