学長からのメッセージMessage

高い志を持ち自己の修練に励んでほしい。


村田 治 学長

関西学院大学には、研究者の養成をめざす大学院研究科と、高度専門職業人を養成する専門職大学院が設置されています。研究者養成のための大学院においては、2021年3月31日現在で、修士学位記授与者は10,167名、博士学位記授与者は1,142名にのぼっており、数多くの研究者を輩出しており多方面の分野でさらなる研鑽を積んでいます。また、専門職大学院は、司法研究科(ロースクール)と経営戦略研究科からなり、これまで、3,030名に専門職学位記が授与され専門職業人として各界で活躍しています。大学院で学ぶことは、当然のことながら、学部における学修より専門性は遥かに高くなります。研究者をめざそうが、専門職をめざそうが、その過程では極めて地道な作業が必要とされます。言い換えれば、厳しい自己に対する修養が求められます。個々の専門分野の知識や技能を一定レベルまで引き上げるために、狭い分野を深く掘り下げる努力が必要となります。他方、現在の科学や学問の進歩は目覚ましく、異なった分野が互いに結合し融合することが当たり前のようになってきています。大学院で学び始める初期の頃は難しいかもしれませんが、科学や学問分野全体に渡っての幅広い視野を持つことも、これからは極めて大切になってきます。

自己に対する修養も幅広い視野を持つことも、おそらく、自分が専攻している学問分野が好きでないとできないものと考えます。逆に言いますと、皆さんは、探究しようとする自分の研究分野が面白いと思うからこそ、大学院をめざしているのだと思います。しかしながら、専門的知識や技能を身につけるためには、「面白いと思う」ことだけでは十分ではなく、上でも述べたように、厳しい自己の修養が求められます。この厳しい自己の修養を可能にするのは、高い志ではないでしょうか。

関西学院第4代院長のベーツ先生は、スクールモットー “Mastery for Service”について書いた文章の中で、Self-culture(自己の修養:Mastery)とSelf-sacrifice(献身:Service)は相補うものとして、次のように説明されています。

“Self-culture pursued for its own sake produces selfishness.
Self-sacrifice as the only rule of life leads to weakness.”

さらに、ベーツ先生は、“Mastery for Service”の言葉に続けて、

“We do not desire to be weaklings. We aim to be strong, to b e masters.”

と述べています。自己を修養するために強くあれ、と。
自分自身のためだけでなく、世界に貢献するという高い志を持って、皆さんが自己の修養に励まれることを心から期待します。

Mastery for Service

1889(明治22)年、アメリカの南メソヂスト監督教会の宣教師で関西学院(Kwansei Gakuin)の創立者として初代院長となったW.R.ランバスは、神戸原田の森、今の王子公園に少数の教員とわずかな生徒からなる私塾のような学校を創立しました。この学院創立以来、関西学院は「キリスト教主義(Principles of Christianity)にもとづく全人教育」の実現を建学の精神としてきました。
第4代院長で初代学長を務めることとなったC.J.Lベーツが高等学部(1912年新設)のために提唱した“Mastery for Service(奉仕のための練達)”がスクールモットーとなり、彼はそのスクールモットーについて以下のように書いています。
「我らが主とたらんと希う目的は、己れ個人の富を積むことではなく、かえって世に仕えることでなくてはならない。我らは広義における人類の仕え人たらんことをめざすものである。」