2017.12.12.
京都賞受賞の三村髙志氏に名誉博士学位を贈呈/本学理学部OB

 関西学院大学は12月7日、本学理学部物理学科の卒業生で、2017年度の第33回京都賞(先端技術部門)を受賞した三村髙志氏(株式会社富士通研究所 名誉フェロー)を招き、名誉博士学位を贈り、記念講演会を開催しました。 三村氏は、2種類の半導体を積層化した新構造の「高電子移動度トランジスタ(HEMT)」を発明し、伝導層内の電子移動度が高くなるため優れた高周波特性を持つことを解明。この研究により、HEMTが高い周波数まですぐれた特性を示すことを実証し、電波望遠鏡や衛星放送向けの送信機への応用を開拓するなど、情報通信技術の発展に大きく貢献されました。その後、極薄伝導層内の電子の物性研究の進展にも力を注がれ、今回の京都賞(先端技術部門)受賞に至りました。

講演する三村氏

講演する三村氏

 授与式のスピーチで、三村氏は「理学部を卒業してからちょうど半世紀になる今年に、このように名誉な学位記を拝受することになったのは何かの偶然としか言いようがありません。これまでの研究も偶然の連続であり、予想外の出来事との出合いが驚きと感動を与えてくれ、それが研究のモチベーションにもなっています」と研究を振り返りました。
 講演会では、挑戦することの大切さについて、「『チャンスは準備された心だけに訪れる』という言葉があり、私は、準備された心というのは感受性のことだと思っています。失敗はマイナスなことではなく、失敗したことで新しいアイディアに気づくということもある。私の場合、研究で多くの挑戦と多くの失敗を経て感受性を育むことができました」と話しました。

 “Mastery for Service”の精神にも触れ、「Masteryとは自分の知識やスキルを高めること、Serviceとは世のため人のためにその能力を使いなさいということだと理解しています。自分の長所を高め、実際に世のため人のために使ってみる。そこから得た学びを改善につなげる。こうしたサイクルがさらなるイノベーションを生み出し、より良い世の中を作っていくのではないかと思います」と話しました。