2017.05.30.
客野・総合政策学部教授 建築分野の国際誌でBest Paper Award

国際誌「Journal of Asian Architecture and Building Engineering」

客野教授

客野教授

 客野 尚志・総合政策学部教授が4月、日本建築学会、中国建築学会、大韓建築学会の3学会が共同で刊行する国際誌「Journal of Asian Architecture and Building Engineering」で、2016年のBest Paper Award(Environmental Engineering Field)を受賞しました。客野教授は「予想外の受賞で驚いています。周囲のサポートがあってのことなので、関係者に感謝しています」と話しています。
 受賞した論文は、「Methodology for Evaluating Influences of Anthropogenic Factors on Temperature Formation of Summer Seasons Considering their Randomness -Verification Through the Hierarchical Bayesian Model-(邦訳:夏季の気温形成への人為的要素の及ぼす影響を評価するためのランダム性を考慮した手法―階層ベイズモデルによる検証を通して―)」。都市の温暖化であるヒートアイランド現象を詳細に予測するための数学的なモデルを構築し、GIS(地理情報システム)を用いて、空間統計の手法により検証したものです。
 特に、気温形成という気象現象は静的なものでなく、多くの要素が複雑に絡みあっています。結果的に、ランダムに状況が変化するもので、そのランダム性を適切に考慮することがモデルを構築する上での鍵となります。客野教授の研究では、これを考慮するにあたり、近年注目されているベイズ統計の枠組みを使用したことに特徴があります。このモデルによって、近畿圏の夏季の気温形成を予測したところ、高い精度での予測が可能となりました。
 地球環境の時代において、都市環境に考慮した都市計画や建築計画は、ますます重要な課題となります。その中で、個々の土地利用や土地の状況、都市計画的な規制が、気温形成などの都市気象に与える影響を正確に把握することは、実際の都市計画を進めるうえで重要な意味を持ちます。「今回のような知見を蓄積することにより、環境に配慮した都市づくり、建築計画に寄与することができると思います。今後も“Mastery for Service”の精神で、研究者、教育者として自己研鑽しつつ、論文と教育という形で還元したい」と意気込んでいます。



【論文】
Methodology for Evaluating Influences of Anthropogenic Factors on Temperature Formation of Summer Seasons Considering their Randomness -Verification Through the Hierarchical Bayesian Model-
(邦訳:夏季の気温形成への人為的要素の及ぼす影響を評価するためのランダム性を考慮した手法―階層ベイズモデルによる検証を通して―)