2016.07.29.
留学予定学生らを対象に「危機管理研修」~元警察大学校教授が「予期せぬ事態及び犯罪に備えて」~

研修の様子

研修の様子

 バングラデシュでの邦人殺害事件(7月1日)など、海外でテロや凶悪犯罪が多発していることを受け、関西学院大学国際教育・協力センターは7月28、29日、西宮上ケ原キャンパスと神戸三田キャンパスで、海外留学プログラムで海外に出かける学生を対象にした危機管理研修を実施しました。「テロ等の予期せぬ事態及び犯罪に備えて」をテーマに、元警察庁国際緊急援助隊隊長で、PKOカンボジア暫定機構の文民警官などの経験がある出宮良平氏(61歳)が、実際に銃を向けられた際など突発事態時の対応、日本人として持っておくべき認識などを自身の経験も交えて説明しました。対象となったのは、短期外国語研修、中期留学、交換留学、学部主催プログラムなどに夏期休暇、秋学期に参加を予定する学生約700人。西宮上ケ原キャンパスでは約350人、神戸三田キャンパスでは約100人が聴き入りました。

 出宮氏は、日本におけるテロ対策の歩み、過激派組織「イスラム国」などの現状から説明を始め、一方で、イスラム教自体が過激思想ではないことも強調しました。そのうえで、不測事態への対応として、日本人は一般的に銃器や薬物に対する知識が「決定的に不足している」と指摘。銃など凶器を向けられた際の心得として、①動かずに両手を高くあげる~相手も必死、中途半端は相手の恐怖心をあおる②相手の目をまっすぐ見ない~一重まぶたが多い日本人は目つきが鋭い③間合いをできるだけ広めに保つ~逃走経路を確保するためにもできるだけ『広めの一歩+片腕の長さ』以上の間隔で離れる④相手の要求には絶対に逆らわない~ポケット等を探られても動かない――といった点をあげました。また、銃撃時の対応3原則として「伏せる」「逃げる」「隠れる」をあげ、不審物を見つけた時と合わせ、「写メを撮る時間があれば、少しでも離れてもっとも近い角を曲がる」と注意を促しました。

 さらに、8、9月に学生が派遣される中国、カナダ、アメリカ、ドイツ、マレーシア、オーストラリアなどの国に関して、治安状況と生活習慣について国ごとに個別に説明しました。

 出宮氏にはこれまで、国連ユースボランティアの事前研修で安全対策の一項目で講義していただいていましたが、テロなどが相次ぐなか、今回は全学の学生を対象に危機管理研修としてお話しいただきました。