2016.06.25.
「手話言語研究センター」の開設記念シンポジウムを開催

 関西学院大学は6月19日、公益財団法人日本財団の助成を受けて4月から活動を始めた「手話言語研究センター」の開設記念シンポジウムを大阪・梅田のヒルトン大阪で開きました。手話を言語として研究する機関の設立は国内の大学では初めてとなります。

 最初に、村田治・学長が「手話教育はまだまだ発展の途上であり、課題も多い。手話言語研究センターの開設が、自分の置かれている状況に対して何ができるかを一人ひとり考えるきっかけになれば」とあいさつ。続いて、日本財団の尾形武寿・理事長は「日常で話すときの身振りや手振りが手話になれば、ろう者がより住みやすい環境になる。普段から手話を話せる学生が出てきてくれることを願っている」と期待を込めました。

 基調講演には、生まれつき耳が聞こえず話すこともできない障がいがありながら兵庫県明石市議になった家根谷敦子さんが登壇。ろうあ学校での経験や、唇の動きで意思を伝える口話の練習をした体験を交えながら、手話が言語として認められていないことの不自由さについて「手話言語研究センターの研究が今後、手話言語の地位の向上につながることを大いに期待したい」と手話で話しました。

 後半のパネルディスカッションでは「日本手話クラスの歩みと今後の手話言語教育について」をテーマに、手話言語研究センター副長の森本郁代・法学部教授と、人間福祉学部で日本手話講師を務める平英司さん、前川和美さん、同学部で手話を学んだ卒業生の横田理恵さんが話し合いました。日本手話クラスについて、平さんは「2年間の授業では、受講者が手話通訳者を目指すための基盤作りをすること、手話を広めていく人材を育成することが目標」と説明。前川さんは「手話で話すときは相手の目を見て話し、注意を引くために相手の肩を軽くたたきます。こうした文化の違いを理解してもらうことが、手話言語の習得には必要」と手話で語りかけました。横田さんは「手話を学ぶのは本当に楽しかった。大学で出会った友人3人とは手話で深い話ができるまでになった」と笑顔で話しました。手話の在り方や今後の課題などの論議に、会場を埋めた約60人の参加者たちは熱心にメモを取るなどしていました。