2016.06.18.
フォーラム「いま、改めて世界の健康を考える」を開催

 9月に神戸で開催されるG7神戸保健大臣会合を前に、関西学院大学、WHO神戸センター、G7神戸保健大臣会合推進協議会は共催でフォーラム「いま、改めて世界の健康を考える ~伊勢志摩サミットからG7神戸保健大臣会合に向けて~」を6月8日、西宮上ケ原キャンパスで開催し、学生など約100人が参加しました。

 冒頭の挨拶で山本光昭・兵庫県健康福祉部医監は、「G7神戸保健大臣会合では、G7伊勢志摩首脳宣言の附属文書として発表された国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョンをベースに議論が展開されていく。ぜひ学生の皆さんも世界の健康、保健の課題に関心を持って議論に注目してほしい」と述べました。

 講演ではWHO神戸センターのアレックス・ロス所長が「いま、改めて世界の健康を考える ~伊勢志摩サミットからG7神戸保健大臣会合に向けて~」をテーマにG7伊勢志摩サミットで検討された保健課題「公衆衛生危機対応のためのグローバルヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)強化」「危機への予防・備えにも資するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進」「薬剤耐性(AMR)への対応強化」の概要と背景について説明しました。
 世界が直面する保健課題は数多く、エボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)、新型インフルエンザ、デング熱、ジカ熱国境を越えて拡大する感染症の問題や、動物由来の病原体の増加、自然災害、人口の高齢化や急速に進む都市化など、一国の対応では不十分で、国際的な連携と対応が必要と述べました。また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を実現し、誰もが基本的な医療を受けることができる“誰一人取り残さない”保健システムの強化が必須と訴え、各国が国際保健規則(IHR)を遵守し、仙台防災枠組に沿って共に協調して行動できるようにWHOが作成したWHO Comprehensive Health Emergency Programme(WHO健康危機管理プログラム)を紹介。各国が新感染症のアウトブレイクを予防し、発生後は即座に対応していくためには強靭な保健制度の確立が必要と話しました。
 また、ロス所長はWHO神戸センターの活動についても紹介。「UHC」「イノベーション」「高齢化」をテーマに、特に高齢化を考慮しながらUHCの実現をめざすための研究を進め、国の内外の研究者と連携しながら日本の知見を海外に、また海外から国内に知識交流を進めると話しました。

トークセッションの様子

 続く、前国連児童基金(UNICEF)駐カザフスタン事務所代表の久木田純・関西学院大学SGU招聘客員教授とのトークセッションでは、「世界市民として活躍するためには」をテーマについて話しました。将来、国際舞台で働くことを望む学生へは「世界の保健に対して情熱を持つこと」「NGOやインターンシップ、JPOなどを利用して海外で働くチャンスをつかむこと」の大切さを伝えました。