2012.03.06.
卒業生が71人の震災記録を集めた「3.11慟哭の記録」を出版

金菱さんと「3.11慟哭の記録」

金菱さんと「3.11慟哭の記録」

 関西学院大学の卒業生(1999年社会学部卒)で現在、東北学院大学准教授の金菱清(かねびし・きよし)さんが一般市民から震災の記録を集めた「3.11慟哭の記録」(2月20日発売、新曜社、560ページ、税込2940円)が出版されました。
 金菱さんは学生時代に阪神・淡路大震災を経験するなかで、マスコミの取材ヘリコプターが救助を求める声を掻き消し救援活動の妨げになったことなど現場の声があまり取り上げられなかったことに違和感を覚えていたといいます。16年後の3.11の震災時、仙台でふたたび震災に遭遇し、震災直後から覚えている限りの記録を集めようと、あらゆる年齢・職業の人々に震災記録の執筆を依頼してきました。

 本書では、宮城・岩手・福島の3県27市町村、その他秋田・千葉・東京と広範囲にわたる記録が収集されており、執筆者数は71人。両親の仮土葬、行方不明の子の捜索、津波火柱からの脱出、消防団活動、海苔養殖復興、遺体身元照合ボランティア、転々とする原発避難、避難所運営など、それぞれの目から見た大震災のつぶさな記録です。
 
 その中の一つには、関西学院大学法学部を2006年に卒業し、宮城県の実家に戻っていた際に震災の犠牲となった小原聖也さんの父親・武久さんの手記も含まれています。「夢半ばで逝った息子を想う」と題された手記の中では、震災直後から悲しい対面を果たすまでの記録や聖也さんとの思い出が丁寧に綴られています。27歳の若さでお亡くなりなった聖也さんに心から哀悼の意を表します。

 金菱さんは「この3.11の震災を、被害にあったあらゆる地域・立場の人々を通して、深く捉えたかった。被災地の人々とどのように寄り添い、再起を支援できるか。阪神・淡路大震災と東日本大震災とを結びつける試みとして本書を多くの人に読んでもらい、東北再興の出発点したい」と語っています。
 詳しい目次は、次のURLをご覧ください。