2010.05.10.
シミュレーション教育に挑戦―アカウンティングスクール「企業法基礎」で

 岡本智英子・経営戦略研究科教授が、授業でシミュレーション教育に取り組もうとしている。昨年度の大学共同研究「市民ボランティアを使ったシミュレーション教育の有効性の学際的研究」に参加したことがきっかけ。
 共同研究の中で、関学ロースクールの進める「模擬依頼者(以下SC)を用いたシミュレーション教育」を目の当たりにした岡本教授は、「市民ボランティアのSCに翻弄される弁護役の学生の『心の葛藤』が貴重。どういう職業専門家を目指すのかを考えるきっかけにもなり、アカウンティングスクールにも展開できないか」と考えたという。

 5月15日(土)にSC2人を招き「企業法基礎」の授業で実践する。シナリオの設定は、公認会計士役の学生が会社経営者(SC)と銀行の融資係(SC)の間で、融資とセットになった変額保険をめぐって板ばさみになる実際にあった事例とする。会社経営者と銀行の利害が対立する中で、公認会計士に課される説明責任とは何か、リアルに捉えてもらうのが狙い。
 岡本教授は「会計を学んでいる学生たちは、権利・義務を捉えることが総じて苦手。権利・義務の主体をまず考え、職業倫理と利害や人情が衝突する現場で、どう説明責任を果たせるかをシミュレーションを通して考えて欲しい」と話している。