2009.05.11.
「犬と飼い主の顔が似ている」ことを実証―中島教授の論文が英国の学術誌に掲載

 文学部総合心理科学科の中島定彦教授(専門:動物心理学)らの研究グループが「犬と飼い主の顔が似ていること」を実証した。その研究成果をまとめた論文が英国の学術誌「Anthrozoös」6月号に掲載される。論文のタイトルは「Dogs look like their owners: Replication with racially homogeneous owner portraits」(犬は飼い主に似ている:人種的に均質な飼い主写真を用いた追試研究)。
 犬(純血種)とその飼い主の顔が似ているという論文は、海外で2件報告されている。しかし、その2件は飼い主が多人種で構成されていた。中島教授らは、日本人の飼い主に絞って実験。柴犬、ボーダーコリー、ポメラニアンなど純血種の犬40頭とその飼い主40人を対象に2つの実験を組み合わせて実証した。
 第1実験では、70人の判定者に、犬と飼い主の写真を見せ、それを正しく組み合わせてもらったところ、偶然水準を有意に上回る正答率を得た。また、判定者は、犬と飼い主の顔の類似性をもとに写真を組み合わせていることもわかった。
 第2実験では、犬と正しい飼い主をペアにした写真20組「セットA」と、正しくない飼い主とペアにした写真20組「セットB」を用意。186人の判定者に、どちらが正しい組み合わせかを判断してもらったところ、115人(62%)がセットAを選んだ。さらに、別の判定者187人に、セットAとセットBのどちらが飼い主と似ているかを判断してもらったところ、124人(66%)がセットAを選択した。どちらの正答率も、偶然水準である50%よりも有意に高かった。中島教授は「なぜ飼い主と犬の顔が似ているのかは未解明だが、人は見慣れたものに好感を抱く。このため、普段よく見ている自分の顔とよく似た犬を飼い犬として選択しているのではないか」と分析している。