2025.06.24.
報道番組の疑似体験を通じて「伝わる」コミュニケーションを学ぶ

授業風景

6月19日、神戸三田キャンパス・総合政策学部の「総合政策演習B」(小西 美穂・総合政策学部教授)で、BS日テレの報道番組「深層NEWS」の協力を得て、同番組のメインキャスターを務める右松 健太さんを招いた特別授業が行われました。

授業に参加した総合政策学部の3・4年生20名は、教室をスタジオに見立て、討論番組の疑似体験を通じて、相手にわかりやすく「伝わる」コミュニケーションや、質問に対して瞬時に意見を述べることで、物事を素早く理解して言語化することの大切さを学びました。

授業風景

右松さんがメインキャスターを務める「深層NEWS」は、政治・経済、国際情勢、医療、教育から身近な暮らしの話題まで多岐に渡るテーマについて、司会者が政治家や各分野の専門家などに専門的な視点で意見を求める報道番組です。今回の特別授業では同番組をモチーフに、4つのグループに分かれた学生たちが、司会者役とコメンテーター役に分かれ、10分間の疑似討論番組を体験しました。疑似体験では、設定したテーマについて、司会者が各コメンテーターから肯定・否定、双方の意見を聞きながら、討論を活性化させるための質問を投げかけて討論を成熟させます。最後には、討論の内容を踏まえた総括をして、“ぴったり10分間”で終了させることを目指します。
冒頭、右松さんが「わかりやすく伝える工夫を通じて、コミュニケーションを深めるための“気づき”を学んでほしいです。失敗したことは自分の財産になるので、思い切って発言してほしい。」と話しました。
疑似体験は、実際に番組で使用されるBGMでスタートし、司会者の学生は、曲調のタイミングを見ながら、自己紹介や本日のテーマとその背景などを端的に説明しました。今回は、「大学生活、一人暮らしと実家暮らしどちらが充実する?」や「運動会での順位付けはやめるべきか」など4つのテーマについて討論を行いました。

授業風景

「大学生のアルバイト、掛け持ちをすべきかしないべきか」をテーマにしたグループの討論では、司会者がテーマを選んだ理由について、アルバイトをする大学生の割合が増加する中で、学業との両立が課題であることをあげました。
その後、実際のアルバイト経験や掛け持ちに対する考え方を質問すると、反対の学生からは「1つのアルバイトに集中することで、専門性を高めることができる」や「就職活動の際に、アルバイト期間が長いことは継続力のアピールに繋がる」などの意見が出されました。 これに対して賛成の学生からは、「掛け持ちすることで、多くの仕事や職種を知ることができる」といった意見や、大学時代に8つのアルバイトを経験した学生からは「掛け持ちをすることで、授業の前や合間にアルバイトを挟むなど、時間を有効に使うことができる」などといった意見が出されました。
最後に司会者の学生が、「社会に出るためのスキルを高めることや、学生時代の時間を有効に使うことなど、何を大切にするかによって掛け持ちの是非は変わります。自分が何を大切にするかを考える必要がある。」と10分間の時間ぴったりに締めくくりました。
コメンテーターの学生たちは、司会者から質問された内容に対して、短い時間で質問の趣旨を理解して言語化することに苦労をしていました。それでも、一生懸命に自分の言葉で意見をまとめて簡潔に述べようとしている様子が印象的でした。

授業風景

学生による疑似体験後、実際の番組同様に司会者を右松さんが務め「採用担当者なら能力を重視するのか人柄を重視するのか」をテーマにして、コメンテーターに小西先生の他、立候補した学生が加わりお手本を披露しました。プロの司会者として、コメンテーターの回答を深堀する質問方法や話し方の抑揚、対立する意見を瞬時に理解してまとめる様子に学生たちは感心したり、熱心にメモを取ったりしていました。

司会者役を務めた4年生の岸 紘葵さんは「時間内に議論をまとめることが難しかったです。YESかNOで答えられるような質問をすれば、もっと議論が活発化したと思うので、これからは意識したい。今回学んだことを就職活動や社会人になった時にいかしていきたいです」と話していました。
また、コメンテーター役を務め、右松さんが司会者を務めた疑似討論でも自ら立候補した4年生の八重田 香華さんは「右松さんのコメンテーターになれる貴重な機会と思い立候補しました。しかし、1回目は事前準備ができた一方リアリティが出し切れず、2回目は全てがアドリブの中で、その場で質問を理解して即座に答えることの難しさを改めて実感しました。また、右松さんのテンポ感に圧倒されるとともにそのスゴさを直に体験できる貴重な機会となりました」と話していました。

今回の授業について小西教授は「学生たちは短時間で論点を整理し、相手に伝わる表現を模索する中で、コミュニケーションの本質に触れていたように感じます。知識を的確に言語化し、自分の言葉で伝える力の重要性を実感できたことは、今後に活かせる学びとなりました。学生たちの成長を実感できる、貴重な機会でした」と話していました。