2024.11.28.
独立行政法人造幣局 後藤健二理事長が来校
11月25日、関西学院大学西宮上ケ原キャンパスに独立行政法人造幣局 後藤健二 理事長が来校しました。後藤理事長は村上一平 関西学院理事長、中道基夫 関西学院院長、森康俊 関西学院大学学長、神余隆博・学長特別顧問、田中敦 経済学部教授と懇談した後、田中教授の担当する講義「金融論B」で講演しました。
後藤理事長は懇談で、造幣局が2003年に独立行政法人化したことや、自身が日本政策金融公庫の農林水産事業に携わっていたことに触れました。その経歴から小麦事情に詳しい村上理事長は、商品先物取引などの経済面で後藤理事長と会話が膨らみました。その後、大学運営に話題が移った際には、森学長は本学を含む私立大学を取り巻く現状に触れ、「貨幣の鋳造や紙幣の印刷には最新の技術が必要かと思いますが、本学は工学分野をはじめ、宇宙分野の研究など理系の研究活動も盛んに行っている。本学含め、理系分野における私立大学のプレゼンスを向上させていきたい」と話しました。
続いて、後藤理事長はB号館に移動し、田中教授の担当する講義「金融論B」で講演しました。後藤理事長はまず、造幣局の概要を紹介。現在までの沿革や意外と知られていない造幣局の事業内容を、クイズを交えながら話しました。特に、造幣局では貨幣だけでなく文化勲章や夏の甲子園優勝盾、ゴジラ70周年記念硬貨など、国民のニーズに沿って製造していることが紹介されると、学生たちは意外そうに耳を傾けていました。
その後、後藤理事長は、7世紀から日本には貨幣が存在し、17世紀に徳川家康が貨幣制度を統一したことや、現代日本の通貨制度と流通の現状として国内での流通貨幣枚数が845億枚であること、欧州通貨統合の背景を歴史から紐解き、そのきっかけの一つとなった東西ドイツ統合時には自身がドイツ大使館に勤務していたことなど、貨幣や通貨についてエピソードを交えながら解説しました。
講演の最後に後藤理事長は、「通貨の本質は、あるモノが通貨として機能する、あるいはサービス・モノと引き換えることができるという期待にある。すなわち、今日だけでなく明日も明後日も機能するという信用と信頼の上に通貨は成り立っている」と話し、造幣局の行動指針である「信頼と挑戦」に触れて、講演を締めくくりました。
講演後も後藤理事長のもとには多くの学生が質問に訪れました。学生にとって普段から何気なく使用している通貨について、深く考えるきっかけとなる講義になりました。