2024.07.04.
経済学部 栗田匡相教授が代表を務める「ひょうごグローバルユースラボ」が本格始動
7月3日、「ひょうごグローバルユースラボ」(代表:経済学部 栗田匡相教授)の設立総会が兵庫県庁で開かれました。この取り組みは、2022年度に神戸経済同友会が構想。地域の優秀な大学生による学生シンクタンクを創設し、高度な統計分析、現地調査から得たエビデンスをベースとした地方創生とSDGsにまつわる課題解決・社会実装を目指すなど、地域の元気づくりを推進するプラットフォームの構築を提案しました。
2023年度には、関西学院大学において、企業や行政が抱える課題に対し、栗田ゼミが中心となって統計分析・調査を試行的に実施しました。
【笠谷工務店】
芦屋で創業して117年の歴史を持つ笠谷工務店では、働き方改革などの時代の変化により、伝統技術の継承が課題となっていました。そこで栗田ゼミは効果的な伝承方法を調査。笠谷工務店社員や建設業界他社などへ技術伝承の課題に関する調査を行い、得られたデータを分析しました。そうして浮き彫りとなった課題に対して、中堅・ベテラン社員と若手社員がさらに密接なコミュニケーションをとることで、技術伝承を効率的に促進する「QC(Quality Control)活動」「コミュニケーション推進」、より短い時間で細部まで学べ、自主学習にも取り組めるようにする施策「VR事業」「DX化」を提言しました。
【内外ゴム】
神戸市にある内外ゴムからは、地震感知器に対する新たなニーズと、兵庫県下の人々の防災意識についての調査が課題として提示されました。そこで、栗田ゼミは複数の調査とデータ分析から共助意識が高い方が地震への意識も高いことを突き止め、①共助意識の高まり②地域とのつながり③地震感知器の知名度向上の3つを提案。①②は共助の意識が高いほど過去の震災の教訓を活かせている傾向にあったことから、地域の催しなどを通じた地域コミュニティの活性化を提言しました。③については、共助の意識が高い人々は防災セミナーなどに参加する傾向にあることから、防災セミナーで地震感知器を紹介したり、高齢者にも分かりやすく図やイラストを用いて事例なども踏まえた紹介を行ったりすることを提言しました。
【兵庫県】
兵庫県に対しては、20代の若者が転出超過となっている実態を明らかにし、転出超過を防ぐための政策提言をまとめました。提言にあたっては、豊岡市・淡路市・洲本市・南あわじ市において市役所および商工会議所に対するヒアリング調査と分析を行ったほか、全国の大学生を対象としたオンライン調査などを行いました。提言では、地元についての学習機会や地域交流の活性化を促す政策、淡路島に大学を設置してフィールドワーク拡大を図る政策、若い世代や子育て世代のためのまちづくりコーワキングスペースを設置する制作などが挙げられました。
今年度は株式会社大丸松坂屋百貨店による課題「地元企業との連携によるSDGsの取組の最大化および旧居留地の魅力向上・発信に向けた調査研究」や、兵庫県による課題「県内外国人留学生の県内就職に向けた調査研究」などが予定されています。今後は参加大学を拡充するとともに、取組実績を広く発信することで、「ひょうごグローバルユースラボ」を中核とした、学生と企業課題・地域課題とのさらなるマッチングを図っていく予定です。