2024.09.13.
増尾貞弘・生命環境学部教授が第38回光化学協会賞を受賞
増尾貞弘・生命環境学部教授が9月4日、第38回光化学協会賞を受賞しました。光化学協会では“光”をキーワードに、物理化学、無機化学、有機化学、分析化学、高分子化学、錯体化学等の様々な化学系分野の研究者が参集して分野横断的に研究を行っています。光化学協会賞は同協会において最も権威のある賞であり、光化学の研究において顕著な業績をあげた50歳以下の研究者に授与されるものです。
受賞タイトルは「単一分子分光を駆使したナノ物質の光機能開拓」。増尾教授は「顕微分光法」という測定法を駆使し、これまで様々な新しい光機能を開拓してきました。ナノ物質特有の新規光機能を見出すことに成功した研究成果が認められ、このたびの受賞に至りました。
増尾教授のコメント:
光化学を専門にする研究者にとって、光化学協会賞の受賞は最高の栄誉であり、本当に光栄に思います。私は、学部4年生の卒業研究からずっと光化学の研究に携わっており、長年の研究成果と光化学の貢献が認められ、今回の受賞に至ったことを嬉しく思います。
植物の光合成や太陽電池、有機ELなど、光と物質が関わる現象やものは、私たちの周りに色々あり、豊かな生活を送るうえで必要不可欠です。この「光と物質の相互作用」を研究する学問が光化学です。つまり、光化学はこれからますます重要な学問になることがわかるかと思います。そのなかで、ナノ物質はまだ分かっていないことが多々あり、無限の可能性を秘めています。今後も新規光機能の開拓を目指し、研究に励んでいきたいと考えています。
【受賞タイトル】
単一分子分光を駆使したナノ物質の光機能開拓
【発表概要】
光学顕微鏡下で吸収、蛍光、ラマン計測などを行う「顕微分光法」は、現在の光化学研究において必要不可欠な測定法である。増尾教授は、この測定法がまだ萌芽期であった1990年代後半より一貫してこの測定法を駆使し、たった1つの発光性分子、ナノ結晶、共役ポリマー、半導体量子ドット、分子集合体などのナノ物質を対象とすることで、集団測定では観測不可能な新たな光機能を開拓してきた。なかでも、光子相関測定(光子アンチバンチング測定)や、単一分子分光と原子間力顕微鏡によるサイズ・形状の同時測定を逸早く導入し、ナノ物質特有の新規光機能を見出すことに成功した。