2024.07.03.
能登半島復興支援フォーラム「被災地の現在と未来 ―能登半島地震からの復興に向けて―」を開催
6月28日(金)、西宮上ケ原キャンパスで能登半島復興支援フォーラム「被災地の現在と未来 ―能登半島地震からの復興に向けて―」を開催しました。関西学院は、大学に「人間復興」を理念にかかげる災害復興制度研究所を設けています。また、学生活動としてボランティア活動支援センターを設置し、被災地と関わり続けることを大切にしています。今回のフォーラムはその取り組みの一つとして開催しました。
フォーラムは以下の構成で開催しました。
①ドキュメンタリー上映『現場記録 令和6年能登半島地震』(監督:李洪起)
②講演「能登半島の未来を考える」
講 師 田谷昂大氏(田谷漆器店代表取締役)
③ディスカッション
田谷昂大氏(田谷漆器店代表取締役)
岡田憲夫(災害復興制度研究所顧問)
山泰幸(災害復興制度研究所所長)
2024年2月に災害復興制度研究所が制作した約20分のドキュメンタリー『現場記録 令和6年能登半島地震』は、地震後間もない被災地の光景、避難所の状況、避難所で生活を送る被災した方々、朝市での仕事の場を失った方々などを取材した内容が収められ、現地の深刻な現状を伝えるものでした。
講演「能登半島の未来を考える」では、現地で漆器店等を経営する輪島塗の塗師屋(ぬしや)、田谷昂大氏を講師に迎え、ご自身とご家族の被災状況や能登の現状、世界中からの支援、自身のビジネスの再建、輪島塗を通した能登復興(創造的復興)への取り組みなどについてお話しいただきました。また、地震発生時に、田谷氏が幼い息子をつぶれそうな家の窓から弟に向けて投げて救出したことや、倒壊した自宅から出られなくなった祖母を自衛隊に救出してもらったことなど、ご家族の被災体験を語られたほか、ご自身のビジネスにおける被災状況・現在の取り組みについてもお話しされました。
現在複数の会社を経営する田谷氏は、地震によりビジネスでも大きな被害を受けました。しかし、日本中・世界中からの支援・励ましの言葉に支えられ、地震直後に事業再建を決意。現地の若手経営者の一人として、能登・輪島全体の創造的復興に前向きに貢献しています。講演は、田谷氏の前に一歩踏み出す勇気、能登・輪島をこれまで以上に魅力的な場所にしたいという強い思いが伝わる内容で、聴講者は胸を打たれた様子でした。
ディスカッションでは、能登の復興と過疎の問題を取り上げました。能登の人口流出は地震のみが原因ではなく過疎問題が背景にあり、その点において日本の他の地域と共通する課題を抱えているなどの議論がなされました。