2024.05.21.
チリツィ・マルワラ 国連大学学長が来校「留学とキャリア設計」授業で講演

5月17日、チリツィ・マルワラ 国連大学学長 国際連合事務次長と山口しのぶ 国連大学サステイナビリティ高等研究所所長が西宮上ケ原キャンパスを訪問し、中道基夫院長、森康俊学長らと懇談しました。また、マルワラ学長は学生に向けて「SDGs推進における国連大学とその役割」と題した特別講演を行いました。

講演の冒頭では、マルワラ学長が国連大学の概要と世界各地での取り組みを紹介。その後、平和の実現、気候変動への対応、人工知能(AI)の開発をはじめとする技術革新への対応など、国連大学が現代の社会課題へ取り組んでいることを紹介しました。続けて、同大学が取り組むSDGsに関する研究プロジェクト(2023年には177個を実施)を説明。人工知能が諸分野におけるSDGsをどのように推進できるか議論する一方で、人工知能を活用する際の倫理的な課題にも言及しました。
また、マルワラ学長は「高等教育機関は教育分野におけるイノベーションを促進し、将来のリーダーを育成するうえで重要な役割を担っている」と指摘しました。アントニオ・グテーレス 国際連合事務総長の「若い世代が自分たちの生活に関する意思決定から締め出されてしまったら、我々全員の敗北となる」という言葉を引用しながら、若い世代の声が持続可能な未来にとって重要であることを強調しました。質疑応答の時間では、「人工知能を活用する際に人文科学分野はどのような役割を果たすか」という質問に対し、「パブロフの犬」の条件反射のような心理学の概念を理解することが、学習アルゴリズムの作成に不可欠であるという例を挙げ、学際的な教育の必要性を力説しました。

一行はキャンパスで昼食を取った後、森学長らと懇談。関西学院大学と国連の関係性について話したほか、国連でのインターンシップやボランティアプログラムへの学生派遣に関西学院大学が大きく貢献していることや、関西学院大学が取り組んでいる国際的なスキルを備えた学生の養成について話し合いました。また、「関西学院大学大学院総合政策研究科国連システム政策専攻」(2025年4月開設予定)の立ち上げに向けた、国連大学と関西学院大学の協力の可能性についても話し合いました。 
 

マルワラ学長と山口所長はその後、KG SDGsキャンパスサポーター含む学生と意見交換、質疑応答を行いました。学際的なスキルの重要性について聞かれた2人は、異分野間の協働が必須となる複雑な課題例を挙げました。「グリーンウォッシング」が話題に上った際、マルワラ学長は企業が気候変動に対して行動を起こす動機、そして企業へ再考を促す方法について話ました。一方、山口所長は、この20年間で大きな進展があったことを指摘し、企業がSDGsをより意識するようになり、個人も行動を変え、気候変動対策への知識を持つようになったと指摘しました。 最後に、マルワラ学長と山口所長は学生の鋭い質問の数々に感謝を述べ、「皆さんのようなリーダーがいれば、社会課題を解決できるだろう」とエールを送りました。

KG SDGsキャンパスサポーターとは…SDGsに関心の高い関学生から成り、キャンパスのSDGs推進や大学と連携しての取組等を行う学生組織です。