2024.04.25.
佐藤浩平・理学部准教授が令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞
4月17日(水)に文部科学省の講堂にて、令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰式が執り行われ、関西学院大学理学部の佐藤浩平・准教授が「若手科学者賞」を受賞しました。
文部科学省は毎年、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。その中のタイトルの1つである「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者個人へ授与されるものです。
このたび受賞した佐藤・准教授のテーマは「タンパク質から着想を得た機能性人工分子の創成に関する研究」。
研究成果の概要は以下のとおりです。
研究概要:
天然に存在するタンパク質の複雑な構造と洗練された機能は、人類が到達できるものつくり技術の究極の姿を表していると言える。一方で、数十億年を経て進化してきた天然のタンパク質の機能を超越する人工分子を開発することは不可能であると考えられてきた。
佐藤准教授は、有機フッ素化合物の超疎水性に着目し、物質輸送時の摩擦を軽減させることで、天然のタンパク質を圧倒的に上回る速度で物質を透過する人工分子集合体を開発した。さらに、天然のタンパク質の細胞表面受容体へのシグナル伝達に着目し、その機構に関わる分子運動を体系的に検証することで、天然型を上回る細胞成長促進能を示す人工分子集合体を開発した。本研究成果は、超高性能海水淡水化技術やiPS細胞を用いた再生医療への応用が期待される。
主要論文:
「Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely fluorous interior surface」Science誌、vol.376、p738~743、2022年発表
「Artificial extracellular matrix scaffolds of mobile molecules enhance maturation of human stem cell-derived neurons」Cell Stem Cell誌、vol.30、p219~238、2023年発表