2022.11.29.
ウクライナ民族楽器・バンドゥーラのコンサートと講演会を開催

バンドゥーラを演奏するカテリーナさん

バンドゥーラを演奏するカテリーナさん

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いており、世界中で不安や悲しみが解消されない状況です。ウクライナに思いを馳せるとともに、日本に避難したウクライナの人々の声にも耳を傾けるため、学校法人関西学院は11月21日、ウクライナ民族楽器・バンドゥーラのコンサートと講演会を西宮上ケ原キャンパスの中央講堂で開催しました。学生、生徒、教職員、一般の方など約240人が参加しました。
バンドゥーラを演奏したのは、日本に2人しかいないバンドゥーラ奏者の1人であるカテリーナさん。ウクライナ・プリピャチ生まれで、19歳から音楽活動の拠点を東京に移し、国内外で公演活動を展開しています。この日は、ウクライナの曲である「金色の花」や「母への道」、日本語で「翼をください」などを披露。美しい歌声と音色が中央講堂に響き渡りました。「早く戦争が終わりますように。そして、ずっと平和で、安全で、自由で、青い空でありますうように」とメッセージを送りました。
 

登壇する横山由利亜さん

登壇する横山由利亜さん

続いて、公益財団法人日本YMCA同盟ウクライナ避難者支援プロジェクト責任者の横山由利亜さんがウクライナ避難者支援活動の内容を中心に講演しました。ウクライナから日本へ避難している人数は2,000人を超え、日本YMCA同盟では150人以上の人々の来日を支援したこと、75%は女性であること、ウクライナの人々は就業意欲が高いことなどについてデータを用いて紹介。ウクライナからの出国から来日までの支援、空港での出迎え、日本で生活するための手続きなどで経験したことも話しました。
現在の課題について「各家庭や個人で異なる問題が発生しており、ヒヤリングを行って個別支援を進めています。特に、体調不良につながりやすい精神面へのケアが必要です。日本で経験する地震が爆撃だと勘違いしてしまうくらい不安定な方もいます。日常生活の支援と合わせて、発散やリフレッシュできる場の提供、カウンセリングなど様々な手法で支援を続けます」などと話しました。

左から中道院長、カテリーナさん、横山さん

左から中道院長、カテリーナさん、横山さん

最後にカテリーナさん、横山さん、中道基夫・院長が登壇。カテリーナさんは「2月に戦争が起こり、『いったい何を伝えたらいいのか』『きっと誰も私の歌を聞かないだろう』と思うようになり、歌えない気持ちになったこともありました。そんな中、多くの人から、今だからこそあなたの音楽を聞きたいと言葉をもらい、今は『しっかり伝えたい』と思っています。ウクライナでは自分の家族や友人などが、戦争で死の危険にさらされています。当たり前だった平和や安全が一瞬にしてなくなりました。日本のみなさんには、平和や安全の大切さに気付き、人生を楽しくしっかり生きて欲しい」と語りました。
横山さんは「何人か来日を支援しているうちに、SNSで私の存在が広がり、夜中にショートメールなどで『今、爆撃を受けており、シェルターにいます。あなたに相談したら、日本へ避難できると聞きました』といった連絡が届くようになりました。戦争のリアルさが伝わってきました。避難者はみんな、ウクライナが戦争になると思わなかったと口をそろえます。日本もロシアの隣国であり、また中国と台湾の問題など他国を見ても油断できない状況にあります。日本人も日本を取り巻く状況を最認識する必要があります」などと訴えました。
中道院長は「日本で生活する避難者の方がどうすれば平和に過ごせるか。その一つとして、私たちが忘れないことが大きな力になります。記憶にしっかり刻みましょう」と話しました。
最後にカテリーナさんが日本語で「ふるさと」を熱唱し、会場は大きな拍手に包まれました。
参加した学生(社会学部3年生)は「今日の話を聞いて、私たちはウクライナで起こっていることに目をそむけるべきではないと実感しました。ロシアのウクライナ侵攻だけでなく、戦争や平和について考えを改める良い機会になりました」と話しました。 
 

コンサートの様子

6月に開催したキーウ工科大学と西宮上ケ原キャンパスなど4キャンパスをつないだオンライン講演会は以下よりご覧ください。

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