2022.08.05.
森崎泰弘・生命環境学部教授ら研究グループがお椀型マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功

森崎泰弘・生命環境学部教授はじめ、筑波大学、産業技術総合研究所、株力会社リガク、科学技術振興機構(JST)の研究グループがお椀型マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功しました。
雪やビスマス結晶のように、結晶には凹多面体形状で特徴づけられる「骸晶(がいしょう)」と呼ばれる一群が存在します。急速な結晶成長プロセスで形成される骸晶は、従来の緩やかな成長プロセスでは表出し得ない結晶面や複雑な形状を有しています。骸晶形成の精密な制御ができれば、結晶材料に潜在する新たな機能の発掘が期待できます。しかし、骸晶はその急速な結晶成長様式のために、形状や大きさ、配向性をそろえることは困難です。
本研究では、森崎泰弘教授が開発した特殊なキラリティ(面性不斉)をもつX字型の有機分子を基板表面で自己組織化させることにより、形状・サイズ・向きが揃ったお椀型マイクロ単結晶(骸晶)の作製に成功しました。このお椀型マイクロ結晶は、基板表面にわずか20秒程度で一斉に形成します。また、溶液濃度の調整やキラリティの選択により、より複雑で精緻に意匠を凝らしたお椀をデザインすることができ、得られたお椀型結晶は、実際に溶液を保持する微小な器として機能します。さらには、形状とサイズが揃っているため多環式芳香族炭化水素を模した結晶の敷き詰め構造の形成も可能です。
この成果は、分子の自己組織化により凹多面体マイクロ骸晶の形成を基板上で均一かつ精密に制御した先駆的な例であり、有機マイクロフォトニクスやマイクロテクノロジー応用に向けた汎用性の高い有機マイクロ結晶形成戦略を提供します。
本研究成果は、2022年8月5日に学術雑誌「Science」に掲載されました。

詳細は以下の報道発表をご覧ください。

(共同発表)お椀型多面体マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功関連ページへのリンク