2022.01.13.
高比表面積キャパシタ炭素電極の開発~エネルギー貯蔵デバイス電極材料や燃料電池触媒担体の開発へ期待

田中大輔・理学部教授と岡山大学などの共同研究

 田中大輔・理学部教授と、岡山大学大学院自然科学研究科博士後期課程の梅澤成之大学院生、同学術研究院自然科学学域(工)の林靖彦教授、星和電機株式会社、そして英国のSurrey大学の国際共同研究グループは、亜鉛を含む金属有機構造体(MOFs)(注3)を出発原料とし、ミクロ孔、メソ孔(注1)が豊富に含まれる高比表面積の多孔質炭素材料を開発しました。
 本研究では、出発物質に亜鉛を含む金属有機構造体(MOFs)を用い、亜鉛や酸素の含有比率が焼成中の亜鉛の動的挙動に影響し、多孔質炭素材料の細孔特性に大きく影響することを明らかにしました。この多孔質炭素材料は、市販の活性炭を超える高比表面積をもち、電気二重層キャパシタの電極に用いることで高容量化を実現しました。本成果は、新規の多孔質炭素材料の製法として、今後の期待が高まるエネルギー貯蔵デバイス電極材料や燃料電池触媒担体の開発へつながります。
 本研究成果は、2021年12月4日に出版社Wiley社の学術誌「Energy & Environmental Materials (Impact factor:15.122)」のResearch Article(First published)として掲載されました。

◆発表のポイント
・亜鉛を含む炭化物から高温で亜鉛を昇華させ、階層的かつ高比表面積(注1)である多孔質炭素材料の開発に成功しました。
・その場観察X線回折測定により、MOF焼成中の原料に含まれる亜鉛や酸素の挙動を明らかにし、多孔質炭素の細孔特性に影響することを解明しました。
・作製した多孔質炭素を電気二重層キャパシタ(注2)電極に用いることで、市販の活性炭を超える高容量を実現しました。
 

高比表面積キャパシタ炭素電極の開発PDFリンク