2021.12.16.
畠山琢次・理工学研究科教授が日本学術振興会賞を受賞

「次世代有機EL材料の開発」の研究で

 畠山琢次・理工学研究科教授が、日本の学術研究の将来のリーダーと期待される研究者を顕彰する第18回日本学術振興会賞の受賞者に選ばれました。受賞の対象となった業績は「次世代有機EL材料の開発」。独立行政法人日本学術振興会が、日本学術振興会賞審査会の選考に基づいて決定し、12月16日、発表しました。

 授賞理由としては、「有機ELディスプレーは、次世代のディスプレー技術の一つとして注目されており、更なる発展のために効率と色純度に優れた発光材料の開発が望まれている。その中にあって、含ホウ素π共役分子は独特な光学特性と電気化学特性を持つため、次世代有機EL材料などの機能性材料として注目されているが、安定性、合成の困難さ等の問題を有していた。これに対し、畠山琢次氏はホウ素を窒素とともに多環式骨格に組み入れるという独創的な分子設計の下、その合成のための新たな反応を開発することで、安定性に優れた含ホウ素π共役分子群の創製に成功した。さらに、ホウ素の位置を制御することにより、優れた発光特性と耐久性を併せ持ち。世界標準となる青色発光材料の開発を達成した。このように、畠山氏は、有機化学の基礎から機能性材料の開発まで独創的な研究を行い、顕著な業績を挙げている。今後、有機化学、材料化学の分野において、世界を牽引する研究者として、更に活躍することが期待される」とされています。

 日本学術振興会賞は、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を見い出し、早い段階から顕彰することで、その研究意欲を高め、研究の発展を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的にしています。人文学、社会科学及び自然科学の全分野において、原則45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者に贈られています。今回は317名の候補者の推薦があり、前回からの候補者163名を加えた480名から25名が選ばれています。

日本学術振興会賞ホームページ
https://www.jsps.go.jp/jsps-prize/kettei.html