眞城知己（さなぎ・ともみ）・教育学部教授の著書『イギリスにおける特別な教育的ニーズに関する教育制度の特質』（風間書房、2017年）が、2021年度日本特別ニーズ学会文献賞に決まりました。10月下旬にオンラインで開かれた日本特別ニーズ学会の総会で表彰されました。

　この著書は、障害のある子どもに必要な対応について、1980年代初めに世界で初めて「特別な教育的ニーズ」概念として教育制度に位置づけたイギリスのその後20年ほどの過程の特徴を学術的に整理し直して描き出したものです。眞城教授は1980年代後半からこの概念に関する研究に取り組み、日本において「特別な教育的ニーズ」の概念だけに焦点をあてた最初の書籍となる「特別な教育的ニーズ論（2003,文理閣）」などを著しています。現在、ユネスコが提唱するインクルーシブ教育の考え方も、実はこうしたイギリスにおける特別な教育的ニーズに関する教育制度のもとでの試行錯誤の経験から、学校改善や学校開発を軸に据えて登場してきた背景をもっています。

　今回の受賞について、眞城教授は「特別ニーズ教育の諸外国での理論や制度研究を専門とする学者が集まって組織された現在の『日本特別ニーズ教育学会』には、創設準備から携わって参りましたが、その学会より文献賞を頂戴いたしました。精進を重ねて、さらに学究を深めて参りたい」と話しています。