2021.10.14.
固有種オキノウサギの活用や廃校利用のコミュニティづくりなどを報告~島根・隠岐高校の生徒たち

教育学部が協力、離島の課題解決に向けた研究成果のオンライン発表会を開催

 島根・隠岐高校の生徒たちが約1年かけて取り組んだ研究成果を発表する隠岐ジオパーク研究オンライン発表会が10月12日、教育学部の学生や教員が参加して行われました。高校の教室から5チーム20人が、隠岐固有の生物であるオキノウサギを観光資源として活用する方法や廃校利用プロジェクトなどについて報告。本学からは「教育課題探究実習(隠岐)」を履修する学生や教員のほか、隠岐に関心をもつ1年生らも聴き入りました。

 この発表会は2019年、生徒たちが関西研修旅行の一環で本学を訪れて初めて開催。今年は2年ぶりにラーニングコモンズ・リプラでの対面開催を目指していましたが、新型コロナウイルスの感染者が夏に再び増加したのを受け、昨年に引き続きオンラインでの開催となりました。

 研究のフィールドである隠岐の島町は、ユネスコ世界ジオパークに認定された雄大な自然や貴重な生態系が見られる一方で、観光は伸び悩み、少子高齢化が著しい地域です。生徒たちは、貴重生物の認知度アップや地域コミュニティの醸成、ジオパークを生かした観光振興策など幅広い課題の研究に取り組んできました。
 

「オキノウサギ」班が考えた活動計画

「オキノウサギ」班が考えた活動計画

 「オキノウサギ」班は、オキノウサギのぬいぐるみの商品化を提案。試作品への評価やニーズ調査の結果をもとに、改良やグッズ販売方法の検討を進めています。「ヤマネ」班は、国の天然記念物で隠岐で独自の進化をしているヤマネを守るためには、その貴重さを知ってもらうことが重要と考え、ポスターによる認知度アップ策について報告。「廃校利用」班は、島内の小中学生が集まる場を創出したいという思いから廃校利用によるコミュニティづくりを提案。まずは単発イベントの実施に向けて準備を進めていました。「ガンガゼ」班は、毒のある長いトゲが特徴のウニの一種で、海藻が減少する磯焼けの原因となるガンガゼの駆除方法と捕獲したガンガゼの活用方法について検討。自動捕獲装置を使った実験を進めていることが報告されました。「岩石」班は、隠岐にみられる奇岩の形状や景観だけではなく、見た目ではわからない「ジオパーク的背景」に注目。修学旅行生の増加を目指し、ジオパーク的背景を生かした旅行プランについて検討しています。

 それぞれの発表に対して、学生や教員から多くの質問が投げかけられ、生徒たちはチーム内で相談しながら答えていました。全体講評として、波江彰彦准教授からは「目の前の課題や乗り越えるべきハードルだけにとらわれるのではなく、「隠岐のありたい姿」というゴールを常に意識して、自分たちがゴールに少しでも近づけるように探究活動を続けてほしい」と語りかけました。

 その後、大学側から大学や教育学部について、学生からは大学生活についての紹介もあり、高校側からは「必修科目と選択科目の違いについて教えてほしい」、「大学での学びをふまえて、高校2年生の時に取り組んでおいたほうがよいことは何か」といった質問が寄せられました。