2021.10.07.
原田哲史・経済学部教授が進化経済学会学会賞を受賞

著書『19世紀前半のドイツ経済思想―ドイツ古典派、ロマン主義、フリードリヒ・リスト』で

学会賞を受賞した原田哲史・経済学部教授

学会賞を受賞した原田哲史・経済学部教授

 原田哲史・経済学部教授の著書『19世紀前半のドイツ経済思想―ドイツ古典派、ロマン主義、フリードリヒ・リスト』(ミネルヴァ書房、2020年)が、第6回進化経済学会学会賞に選ばれました。
 この著書は、19世紀前半のドイツの3つの経済思想、ドイツ古典派、ドイツ・ロマン主義、フリードリヒ・リストに着目して、織りなす思想空間を描き出すとともに、それぞれがもつ社会的使用価値論、世代間倫理、産業主義・拡張主義について現代的な意味を探ったものです。同学会は「研究の対象と手法、その成果において、水準の高い研究書」と評価しています。
 授賞理由では、とくに「ドイツ古典派とロマン主義については、これまでわが国において研究の蓄積が乏しいが、数多くの文献の丹念な検証によって思想の形成と展開の過程を解明した点」でオリジナリティーがあるとされています。また、ドイツ古典派の客観的・社会的な使用価値論には「時代を先取りする要素も含まれていたのであって、例えば、ウィリアム・カップ、都留重人、宮本憲一らの」20世紀後半の経済学の先駆と言えるものがすでにあったことも本書によって示された、と特筆されています。
 進化経済学会は1996年に創立されており、経済社会を制度や技術も含めた「動的なもの」として捉えるとともに、そこで受け継がれていくものを見逃さない、といった見地から経済・経済学の様々な領域で研究を深化させている学会です。
 今回の受賞について、原田教授は「経済学での歴史系が弱くなりがちな現在、わたしの経済思想史の研究が(そこから現代を展望しているとはいえ)選ばれたことに、大変嬉しく、とても光栄に思っています。研究で得られた知見を経済学部での教育に活かしていきたいです」と話しています。

◆『19世紀前半のドイツ経済思想 ―ドイツ古典派、ロマン主義、フリードリヒ・リスト』
(ミネルヴァ書房刊、2020年6月10日出版)