2021.10.06.
齋木喜美子・教育学部教授に日本児童文学学会賞~著書『沖縄児童文学の水脈』

 齋木喜美子・教育学部教授の著書『沖縄児童文学の水脈』(関西学院大学出版会、2021年3月刊)に、第45回日本児童文学学会賞が贈られることになりました。日本児童文学学会が10月1日、ホームページで発表しました、齋木教授は、沖縄に関する人文科学や社会科学の分野で優れた著書を対象にした第1回外間守善(ほかま・しゅぜん)賞に次ぐ受賞となります。

 『沖縄児童文学の水脈』は、「戦前の児童文学―日本本土における「沖縄」の発信」「占領期の児童文学―日本統治下の「台湾」と米国占領下の「沖縄」」「日本本土復帰と児童文学―南洋群島・日本本土・沖縄」の3部構成。戦前と戦後の沖縄児童文学の連続性と不連続性、作家の思想の変遷課程、米軍占領下の政策と児童文学の関わりなどを考察し、児童文学作品を通して、作家の子ども観や次代を担う子どもたちに託した思い、作品が子どもたちに与えた影響などを明らかにしようと試みています。

齋木喜美子・教育学部教授

齋木喜美子・教育学部教授

 日本児童文学学会は、贈賞の理由として、次のように記しています。「本書は、前作『近代沖縄における児童文化・児童文学の研究』(風間書房、2004年)での成果を承け、沖縄をルーツとする多くの作家や作品に光をあて、戦前から現代へと到る「沖縄児童文学」の実像に迫ろうとした労作である。特に第Ⅱ部では、歴史の中に埋没した日本統治下の「台湾」と八重山の文化交流に着目し、綿密な調査研究の上、その一端を明らかにしている。同書が提供する視座は、「沖縄児童文学」に留まらず、日本児童文学の見直しに繋がるものであり、今後の児童文学・児童文化研究の発展に大いに資するものである」 

 受賞について、齋木教授は「ただただ感謝の念とこれからも学会の名に恥じぬように精進しようと決意を新たに緊張しているところです」と話しています。授賞式は11月10日、日本児童文学学会第60回研究大会で行われます。