2021.09.29.
久元喜造・神戸市長がオンラインで講演 「世代を超え、一緒に地域課題の解決を」
「ポストコロナ時代の大都市経営~神戸市の実践とチャレンジ」をテーマに
久元喜造・神戸市長による特別講演会「ポストコロナ時代の大都市経営~神戸市の実践とチャレンジ」が9月27日、神戸三田キャンパス(KSC)と神戸市役所を結んで、オンラインで開かれました。理工学部と総合政策学部の2学部だったKSCが2021年4月、新設の理系4学部(理・工・生命環境・建築)とリニューアルした総合政策学部の5学部体制に再編したことを記念するイベントの一環。学生・教職員約120人が聴講しました。
久元市長は最初に、重症者用臨時病棟をいち早く開設したことなど神戸市の新型コロナ対策への取り組みを紹介。「しばらくはやっかいなウイルスと付き合っていかなければならない。ウイルスがもたらす害悪を最小限にとどめ、平和な生活をどう守っていくか、経済活動とどう両立させるか。今後は、コロナの経験をもとに、命と健康を大事にする、尊重される社会になっていくだろう」と語りかけました。
次に、神戸市が1998年から取り組む神戸医療産業都市について説明。ここで開発された手術支援ロボットや自動PCR検査ロボットシステムなどがコロナ対応に貢献していると紹介。コロナウイルスは大都市の「密」な空間で生まれた病気だとし、「高密度なライフスタイルでいいのか。豊かな自然環境、多様な価値観を受け入れる街が求められる。進化するテクノロジーに支配されるのではかく、人間がテクノロジーを使いこなし、人間らしい働き方ができる都市を目指していく」と強調しました。
そのうえで、神戸市が新たな都市像として目指す「海と山が育むグローバル貢献都市」について語りました。これからの街づくりについて、「海があり山がありという自然の良さを大切にし、狭いエリアに集中して暮らすという街づくりはできるだけやめていく。神戸は鉄道網が発達した便利な街なので、拠点駅周辺を再整備し、居住の誘導をしていきたい。自然環境の中でゆったりと働ける街。若い世代の人にはそういう環境をいいものだと考えて、スタートアップ、ビジネスに取り組んでいただく街にしていく」と述べました。
そのあと、具体的な施策として、中心部でのタワーマンション建設を規制したうえで、バスターミナルや図書館、ホールなど三宮周辺の再開発、ウオーターフロントの魅力向上に向けた取り組みを説明しました。神戸が全国で一番茅葺き民家が残っていることを話し、茅葺き民家を拠点にした里山・農村地域の再生・活性化、六甲山上スマートシティの整備などを進めていることを紹介。さらに、学生が中心となったワクチン接種予約お助け隊をはじめ、地域課題の解決支援などに取り組む「学生地域貢献スクラム」の仕組みを始めており、里山再生に向けた耕作放棄地での活動に関西学院大学の学生が参加していると説明。「世代を超えて、さまざまな地域の課題を解決しようと活動するNPOや大学、企業が互いにできることを紹介し合い、マッチングするプラットフォームを作っていきたい。ポストコロナの時代に人々が互いに助け合い、得意な分野で力を発揮しようという動きが広がっていけば、新しい都市のありかた、人間の活動のありようのモデルとなる」と強調し、学生の取り組みに期待を寄せました。