2021.05.21.
「建築と自然が共生する時代へ」隈研吾氏がオンラインで講演

神戸三田キャンパス再編記念イベント第2弾

 東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場の設計に携わった建築家・隈研吾氏による在学生向けのオンライン講演会「ポストコロナ時代の都市と建築」が5月14日、神戸三田キャンパス(KSC)と隈氏の事務所を結んで開かれました。KSC再編記念イベントの2回目で、建築学部の一期生127人を含む約530人が傍聴。隈氏は、自然と共生する建築や地域づくりを世界各地で手掛けてきた事例を説明しながら、「時代をリードする建築に取り組み、新しい時代をつくってほしい」と新設された建築学部と学生にエールを送りました。

 隈氏は、最初に、米国の建築家・ヴォーリズが本学の西宮上ケ原キャンパスを設計したことについて触れ、「自然素材や屋根を使って周囲の景観になじむ姿は、ポストコロナ時代の建築に大きなヒントを与える」と話しました。国内外で高い評価を受ける隈氏。建築家として、それぞれの地域や文化を理解・大切にすることを意識していると自身の役割についても触れました。福岡県・太宰府天満宮の表参道にあるスターバックスコーヒーの設計では、日本の伝統技術を生かした「木」をふんだんに使った構造が好評で、「世界一、インスタ映えする店舗になった」と説明。その土地の材料を採用する意義を説きました。「自然と共生するためには情熱だけではなく技術が必要。環境に配慮した材料や工法を採用するため。皆さんにはその“技術”をしっかり身につけてほしい」と訴え、「ポストコロナでは自然と共生するやわらかい空間が求められる。そんな時代をリードする建築を、関西学院から取り組み、新しい時代をつくってほしい」と期待を語りました。 

 講演後、村田学長は「伝統ある建築に囲まれた本学にできた建築学部では、構造だけではなく都市・景観までも学べます。今後の学びに関するヒントを隈氏の講演から得てほしい」と語り、角野幸弘・建築学部長は「世界で活躍する建築家の役割が聞けた。建築の力、可能性を感じられたのではないか」と振り返りました。教室で講演を聴いた建築学部の1年生は「コロナ禍による建築の転機を活かして、今の時代にあった建築や都市デザインを考えていきたいと思いました」「第一線で活躍する隈さんの考えを知ることができた。非常に有意義でした」と話していました。