2020.10.30.
持続可能な社会を見据え、行動を起こそう~村尾信尚教授パネルトーク「新しい時代の君たちへ」
神戸三田キャンパスで開催
ニュース番組のメーンキャスターを長く務め、高校へ出向いて模擬講義「村尾塾」を始めている村尾信尚教授が本学の学生と語り合うパネルトーク「新しい時代の君たちへ」が10月28日、神戸三田キャンパスのアカデミックコモンズシアターで開催されました。村尾教授は学生たちと語り合う中で、異なる意見・考え方を排除するのではなく多様な見方を受け入れることの重要性とともに、言論の自由、学問の自由、思想信条の自由を守り抜くことが戦争の芽を摘むことにつながると強調。子どもや孫、その次の世代のためには持続可能な社会にしていくことが重要で、一人一人の投票行動、消費行動が社会を変えることにつながると訴えかけました。
2020年1月に始めた村尾塾は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実際に高校に出かけて行う講義が難しい状況が続いたため、講義動画の視聴とオンラインによる授業を組み合わせたWeb授業をこの秋から始めています。今回のパネルトークは、講義動画の制作・編集に携わった理工学部の池田晴人さん(3年)、尾崎七海さん(4年)、下村日南さん(3年)と村尾教授が語り合うもので、座席の間隔を十分に取ったうえで対面で実施。会場で10人、Zoomで54人の学生が視聴しました。
対談ではまず、学生から「人生のターニングポイントは」「ニュースキャスターをして印象に残る出来事は」といった質問が出されました。村尾教授は、ターニングポイントについては、大蔵省から三重県庁に出向し、総務部長をしていた時に起こった税金の不正使用に絡むスキャンダルとその反省から行った行政改革だったと紹介。キャスター時代の忘れられない出来事は2011年の東日本大震災だったとし、以降、取材と授業で福島第一原発の内部に計14回入ったことを伝え、「被災地を取材するなかで、家族を亡くしたり、家を流されたりした人々の現実に世の中の無常を感じた」と語り、明日に向かっていくには「人からの愛情、人への愛情が力になる」と力説しました。
高校生に対して訴えたいことを聞かれると、村尾教授は「平和の大切さと持続可能な社会」をあげました。円柱形のコップを例に、上から見たら丸、横から見たら長方形に見えるとし、「一つの意見に固執するのではなく、上から見たり、横から見たりして、違った見方があることを理解し、それを自分の中で咀嚼する。異なるものを排除するのではなく、寛容性を持つことが大事」と語りかけました。また、「戦争をしようという意図があれば、政府は世論を一つにまとめようとする」と指摘。「言論の自由、学問の自由、思想信条の自由を守り抜くことが戦争の芽を摘むことになる」と強調しました。
さらに、コロナ禍でお金を配ったり、Gotoキャンペーンを展開したりしている原資について「すべて借金で賄っているが、誰が返すのか」と問いかけ、気候変動、地球温暖化などの問題を例に挙げながら、「持続可能な社会を考えて行動してほしい」と語りかけました。そのうえで、世の中を変えられるツールとして、投票行動と消費行動があると指摘。「1票は微力に感じるかもしれないが、ゼロはゼロだが、1は100万になる可能性がある」と説き、さらに「今は電気を使うにも電源が選べるし、環境や働き方などに気をつけている企業の品物や店を選ぶこともできる」と説明。学生たちには自らが動くことの大切さを語り、行動を起こすよう促しました。