2020.10.14.
ハンズオン・ラーニングセンターの新科目「ハンズオン・プラクティス」始まる

「大学とは何か」をテーマに「対話」「観察」、そして「議論」を深める

野原光さん

野原光さん

 「キャンパスを出て、社会に学ぶ」をキーコンセプトにするハンズオン・ラーニングセンターは10月10日、新設科目「ハンズオン・プラクティス」の集中講義を行い、「大学とは何か」をテーマに、ゲストスピーカーと教員、学生が5時間半にわたって意見を交わしました。

 「ハンズオン・プラクティス」は、「観察」をキーワードに、ハンズオン・ラーニングの基礎を実践(プラクティス)する講義科目(春学期は新型コロナウイルスの影響で開講できませんでした)。2回目の授業となった今回、私立と国立の大学で41年余り教壇に立ってきた野原光さん(元長野大学学長)を招き、前半は担当の木本浩一教授が対話(ダイアログ)をし、学生はそれを「観察」。後半は学生たちが感じたこと、考えたことをを出し合い、野原さんと木本教授が応えていきました。

 野原さんは、自らの高校時代について「進学校にいたため、大学に行くのが当たり前で、 上しか見ていなかった。上昇志向だった」と振り返り、「誰もがそうだと思っていることが本当は違う」「自分の足で立って生きるとは何か」「流されるだけの人生では面白くない」と感じるようになったと説明。そのうえで「自分らしく、ぐにゃりとならずに生きるためには何が必要か」「大学という学問で何ができるのか」「日本の国・社会はどういう人材を必要としているのか」などと問いかけました。一方で、木本教授は「なぜ大学に入ろうと思ったのかと、進学率の問題は関係しているのではないか」「大学の醍醐味はゼミにある」「研究者にならないのにゼミは意味があるのか」といった疑問を学生たちに投げかけました。

 こうした問いかけに対し、学生は3人程度のグループで議論。「若者の意欲について、昔は知識を得るまでの道のりが長く、達成感が大きかったが、今は手軽に情報を取得できる。達成感が小さくなっているのではないか」「教育という言葉が何度か出てきたが、どう言った意味合いで使っているのか気になった」「自分が何をすべきか、何を目標にしたいかわからない。それを探したくて大学に来た」といった意見を出し合いました。そうした議論を受けて、野原さんは「大学とは、同世代と一緒に知的な格闘技をする知的コミューン。そういう同僚を見つけてほしい。そのネットワークがあって、そこに教師を呼んでくるもの。そういう風に頑張る学生をサポートするのが大学側で、何かサービスを提供するものではない」「自分の思いは言語化して口に出してみないと、自分でもわからない」などと語りかけました。
 この授業では今後、感じたこと、そこから考えたことを、個人、グループで言語化していくことにしています。