2020.04.02.
児童養護施設への中古パソコン寄贈を仲介 総合政策学部・吉野専任講師の授業で取り組み
2019年度秋学期に総合政策学部の吉野太郎専任講師の授業「メディア制作演習(地域開発とICT)」を履修した学生たちが、市民活動の情報化を目指して情報機器を寄贈する活動を続ける認定NPO法人イーパーツ(東京)と協力し、2月、神戸市灘区の児童養護施設「双葉学園」(社会福祉法人神戸協和会)に6台の中古パソコンを寄贈しました。パソコンの仕組みやOSS(オープンソースソフトウェア)の利用など基本的な情報通信技術(ICT)を学んだ後、ICTが社会課題をどう解決できるかを考えて実行するプロジェクト型学習で、社会貢献活動の実践として取り組んだものです。贈られた双葉学園の子どもたちはいま、パソコンを使って、調べものをしたり、ユーチューブを見たり、音楽を聴いたりしています。
ICTが社会課題をどう解決できるかを考えて実行
イーパーツは、企業や団体からリプレースなどで不要になったパソコンを譲り受け、クリーニングと動作確認をしたあと、基本ソフトウェアなどをインストールした上で、市民活動団体やNPO法人、福祉施設などに寄贈するプログラムを展開しています。吉野専任講師の授業では2013年度と18年度にもイーパーツと協働で、フリースクールなどに中古パソコンを贈ってきました。一方、双葉学園は幼児から高校生までの34人が生活する児童養護施設。学園によると、子どもたちが使えるパソコンはそれまで2台しかなく、インターネットやユーチューブをもっと使いたいという希望が子どもたちから出ていたそうです。
秋学期に授業を履修し、双葉学園への寄贈に取り組んだのは2年生(当時)8人。どのような活動をするか、どこに何台寄贈するかということから話し合い、「未来を担う子どもたちに、個人的な事情に関係なく、インターネット(情報メディア)やコンピューターと触れ合える機会を持ってほしい」という思いから双葉学園へ贈ることを決めました。
そして、神戸三田キャンパスで2月8日、双葉学園の子ども6人にきてもらい、パソコンの寄贈式を実施。使い方の講習をしたあと、子どもたちの自己紹介や好きな漫画の紹介などをパソコン画面で作成し、披露しました。約1か月経った3月7日には、学生の代表と吉野専任講師が双葉学園を訪問。子どもたちがパソコンを使っているところを見学し、今後の活用方法や安全に使うための設定などについて職員と意見を交換しました。
個人の事情に関係なく、インターネットやコンピューターと触れ合える機会を
一連の取り組みについて、中心メンバーの一人、日下まりあさんは「授業の構成や進め方などすべてが学生主体で、自分たちが動かなければ何も始まらない状況でした。全く関わりのなかったイーパーツや寄贈先の方々と協力しながら新しいことを始めるのはとても新鮮でした。どうしたらパソコンに興味を示してくれるか、どんなメッセージが伝えられるか、模索しながらの取り組みで、私たちの力量が試される演習でしたが、寄贈式では子どもたちと一緒にPC操作を楽しむことができ、達成感がありました」と振り返っています。
また、3月7日に双葉学園を訪問した藤原悠太郎さんは「職員の方々がパソコンを一定の時間しか使えないようにしたり、ウイルス対策のフィルターを入れたりするなど、安全・健全に使う方法、対策を真剣に考えている姿に感動しました。寄贈式に来てくれた子どもたちとも再会し、パソコンを使って一緒にグーグル検索をしてみましたが、夢中になって楽しそうに使う姿を見て、改めて贈ってよかったと思いました」と話しています。