[ 大学院総合案内 ] 総合政策研究科 福井将来さん

プロフィール

総合政策研究科 博士課程前期課程 総合政策専攻 2年(取材当時)
福井 将来さん(総合政策学部総合政策学科卒)

大学院への進学について

進学しようと思ったきっかけを教えてください。

福井将来さん

大学院進学を決めたのは結構早くて、大学1年生の頃から進学しようと思っていました。大学に入学して、高校よりも大学の勉強の方がすごく楽しく感じたので、今後も勉強を続けて、研究を仕事としてやっていきたいという思いが強くなりました。大学院に行くことも早く決めていました。未だ明らかされていない分野や今後明らかにすべき問題がすごく多くあることが大学での学びを通して分かって、自分なりに調べてみたい、仮説を立てて研究してみたいという気持ちになりました。学部の4年間でそれができるのか考えて、時間が足りないと思ったので大学院でも研究を続けたいと考えました。

進学することにどのような魅力を感じましたか?

私は総合政策研究科で経済財政分野の研究をしていますが、研究発表する際は他の分野の先生方からアドバイスをいただける機会も多くあります。今進めている研究には、人工知能や機械学習などの手法も取り入れていますで、色々な立場の人からアドバイスをいただけてすごく恵まれた環境だなと思います。

進学にあたって不安なことはありましたか?

先輩の話を聞いて、文系の場合、大学院を出た後のキャリアはどうなるのかなと思っていました。また、学費の面でも少し不安があったので、奨学金がもらえるように結構早い段階から良い成績をとることを意識して勉強していました。単位の取得もある程度進学に向けて1年生から逆算して履修登録をしていました。研究の面では、研究者の道に進むのは簡単なことではないので、早めにどうにか成果を上げたいと思って今尽力しているところです。

進学に向けてどのような準備をされましたか?

総合政策学部を3年間で早期卒業することも計画の一つでした。大学院では後期課程への進学も考えています。そうなると、通常では学部で4年間、大学院で5年間在籍することになるので、今後の自分のキャリアを考えて、その期間を短くできるのであれば早期卒業制度を利用したいと考えていました。1年生の秋に今所属している研究室を見学させてもらい、先生と相談して自分の研究したいテーマが決まったので、早く学部を卒業して研究できる大学院に行きたいと思っていました。
関学は奨学金などの支援制度も充実しているので、奨学金についても調べて準備しました。今は日本学生支援機構の貸与奨学金とベーツ第1種支給奨学金(入学時にベーツ特別支給奨学金に採用)をもらっていて、学費は支給奨学金でカバーできているので、とても有難く思っています。大学院入試の成績は、 ベーツ特別支給奨学金の採用にも関係するので自身の研究に関するプレゼンテーションの準備に時間をかけました。せっかく大学院に入って自分の研究に費やせる時間が増えても、経済面の不安があると、アルバイトなどに割く時間が多くなってしまうので、そういう不安がない今はとても研究に専念できる環境だと思っています。

研究について

研究テーマを教えてください。

政府の財政状況の悪化や国債の増加により、民間部門がどれほど不安を高めているのか、その民間部門の不安が、経済にどのような影響を与えるのか推定することが研究テーマです。先行研究では、政府の現在の財政状況の悪化により民間部門の不安が高まることが想定されていました。しかし、現在の財政状況を用いた分析では将来の財政運営に対する不安まで捉えることはできません。そこで、本研究では日本の財政に関係する新聞記事の膨大なテキストデータを活用して、国民の不安を定量的に測る指数を作り、それを財政不安の指数としています。その指数を基に不安が高まった時に経済や消費にどのように影響を与えているのかの検証を行っています。

どんなところに研究の面白さを感じていますか?

研究中の福井さん

近年ビッグデータなどの膨大な情報を活用して新たな知見を生み出そうとする流れがあるので、財政分野でもこれから益々データを活用していくには、AIや機械学習などの手法は必要不可欠だと思い勉強しました。苦労は色々とありますが、最初から上手くいかないところも研究の面白い部分で、なぜ上手くいかなかったのだろうと考える時が醍醐味というか、研究をやっていて一番楽しいところかもしれないです。

どのような時に自身の成長・スキルアップを感じますか?

大学院に入ると、研究発表の機会が多くなった分、いろんな方とディスカッションする機会がすごく増えたので、それはとても貴重な経験だと思っています。昨年1年間で5、6回、研究会や国内の学会、さらには国際学会と色々なところで研究発表をさせてもらいました。自分の研究に対して先生方から意見をいただける機会というのは、学部生時代はほとんど無かったので、この経験を通して成長できていると感じています。また、昨年、先生と一緒に論文を執筆して、今までは論文として完成したものしか目にすることが無かったのですが、それまでの過程でやるべきことがこんなにもたくさんあると実感できたのは、自分の成長につながっていると感じています。

院生生活について

大学院生になって、毎日どのように過ごされていますか?

自宅が遠いので、大学に来た日はすぐには帰らず、晩まで研究をしています。自分1人で使える研究スペースが大学の中でも多くあり、大学図書館や大学院生の共同研究室で、ほぼ一日中、研究に集中することができます。ただ、時々、オンとオフが分からなくなることがあって、特に研究発表前になるとオフの日でもいつの間にか研究のことを考えてしまいます。行き詰った時などはテレビを見たり漫画を読んだりしてフレッシュしています。

進学する前と後でご自身が感じたギャップがあれば教えてください。

最初は、大学院に進むと孤独なのかなと思っていましたが、研究室に行くと思っていたよりもいつも先輩たちがいて、話をする機会も多いです。研究テーマはそれぞれ違いますが、みんなで研究しているなっていう横の繋がりは進学前に思っていたよりも感じています。一番お世話になっているのは後期課程の先輩で、分からないところがあれば教えていただけてとても助かっています。

今後について

大学院での学び・研究を将来どのように活かしたいと考えていますか?

研究を引き続きやっていきたいと思っています。ただ 研究を続けるには、経済的な問題もありますので、事前に奨学金や研究費をいただける制度がないかリサーチし、今年の5月に日本学術振興会の特別研究員に応募しました。この申請書の作成は、トライ&エラーを繰り返してかなり大変でしたが、今後将来どうしていくのかといったことを書くところが多くて、自分は今後何を研究していきたいと考えているのか見つめ直す、とても良いきっかけになりました。

目標とするキャリアがあれば教えてください。

大学の先生になりたいと思っています。もちろん研究もとても楽しいのですが、後輩の指導をしていて研究内容を人に伝えることもすごく楽しいのでそうなれるのが一番いいなと思っています。

学部生へメッセージ

大学院で学ぶことの魅力を伝えてください。

大学院では、自分の研究について多くの方と意見交換できる機会がとても増えました。特に指導教員の先生は、色んなことについて気兼ねなく相談に乗っていただける、 私にとってはとても貴重で大切な存在です。そういった出会いや環境があるのが大学院の魅力だと感じています。また、大学院では、自分の時間が多くあって、私はその時間を研究に全て充てていますが、いろんなチャンスを作れる機会だなと感じています。
まだ学生の立場なので、大きいことに挑戦して失敗したとしてもまだまだ可能性があるし、もし失敗しても今のうちの方がいいと思うので、何か思い切り挑戦したいことがあって、学部生時代では時間が足りなかったのであれば、大学院に進学するという選択肢も良いのではと思います。