[ 法学部 ]国・地方の公務員へ―公務に特化した授業

公務員に必要な専門的知識や能力・スキルの向上を目的に体系的なカリキュラムを展開

関西学院大学法学部では国・地方の公務員を目指す学生にむけて、公務に特化した公共政策コース・特修コース(公務分野)の授業を開講しています。政策理論・行政法を専門とする教員や実務経験豊富な現職国家公務員が講師を務め、公務の理論から実践的な演習まで、公務員試験の対策はもちろん、将来公務員として活躍するために必要な専門的知識や能力・スキルの向上を目的とした授業を体系的に設計しています。
加えて、公務員としてのキャリア形成を具体化する霞ヶ関セミナーや公務員予備校による試験対策のサポートもあります。各授業や実際に公務員として就職した先輩学生の声などを通じて、関西学院大学法学部の公務に特化した授業等を紹介します。

公務分野_関西学院大学法学部授業

公務とは

ビル

公務とは、国や地方が抱える様々な課題の解決のため、政策を企画立案し、多様な利害関係者と調整(合意形成)して、実現を図っていくことをいいます。
そのためには、総論的な公共政策(政策科学や政策法務等)や行政運営(公的マネジメント・ガバナンス等)に関する専門的知識、各論的な行財税制・経済・交通・環境・農業・防災等の具体的な政策分野に関する専門的知識に加え、政策企画立案・合意形成に必要な実践的な能力・スキルを身につける必要があります。
公的領域の拡大や行政課題の高度化、前例のない課題への対応、EBPM(Evidence-Based Policy Making:エビデンスにもとづく政策形成)の導入拡大、地方分権改革の進展による地域特性に応じた政策形成の必要性等に伴い、国・地方とも、質量ともに公務の範囲は広がっており、学生のうちから訓練を積むことや、大学院レベルの専門性がこれまで以上に求められています。

入学後から公務員までのステップ

関西学院大学法学部では入学後から公務員までのステップとして3のパターンを設けています。学生一人ひとりの希望や学修状況に応じて、公務に特化した教員が丁寧にアドバイス等を行います。どのパターンでも法学部では特修コースまたは公共政策コース、法学研究科ではエキスパートコース「公共政策プログラム」への所属を推奨しています。

①法学部4年で公務員になる
②法学部を3年で早期卒業し、大学院(法学研究科)を2年で修了して公務員になる
③法学部を4年で卒業し、大学院(法学研究科)を2年で修了して公務員になる

公務員までのステップ

主な授業

他にも様々な授業を展開しています。

行政法概論
行政法のうち、行政活動の法的統制のための基本原理である法治主義の諸原則を習得し、行政法学習の土台となる知識の獲得をめざします。
キーワード:行政、行政法、法治主義、行政裁量
行政作用法
「行政法概論」で得た知識を前提として、行政活動のために用いられる多様な行為形式を学びます。行政が用いる行為形式、とりわけ行政行為の特徴と、それに対する法的統制に関する理解を深めます。また他の行為形式についても一定の知識の獲得をめざします。
キーワード:行政法総論、行為形式、法規命令、行政行為、行政指導、行政契約、行政計画
公共政策学概論
私たちの暮らしに大きな影響を与える公共政策を社会科学の立場からアカデミックな分析を加え、公共政策学の中でどのようにアプローチすればよいのかを考えます。
キーワード:公共政策、政治、歴史、政策の決定、政策の実施、政策の評価
公共政策論
公共政策学概論等の理論的知識と並行して、現実の公共政策がどのように立案・決定・実施・評価されているか、担当教員のこれまでの政策立案・実施の経験を踏まえ、政策過程の全体像や枠組み、視点、中央政府の動き等を実践的に学習します。
キーワード:公共政策、政策過程、政策問題の発見と定義、政策の手段、政策の決定、政策の実施、政策評価、農業政策、地域活性化、少子対策、こども政策、移民政策、多文化共生
地域政策論

地域政策に関係するアクター(住民、統治主体(首長、地方議会、公務員))やアクター間の関係性等について理解を深め、地域政策の具体的分野の実態・課題・展開・今後の方向性等について、基礎的な知識を習得します。ゲストスピーカーの特別講義や、首長が参加する兵庫県政を評価する機会を設ける予定。

キーワード:地域政策、地⽅⾃治体、住⺠、⾸⻑、地⽅議会、地⽅公務員、⼈事管理、地⽅財政、予算管理、条例、教育政策、地域活性化政策、公共交通政策、農業政策

行政学A
行政学の基礎的な内容を学ぶと同時に、日本の行政システムや行政活動の内容や課題についての理解を深めます。政府の役割はどのように変化しているのか、行政活動はどのような組織や人々によって支えられているのかといった問いについて、行政学の理論や具体的な制度改革を扱いながら考えます。
キーワード:行政、政策、政治、制度、組織、改革
行政学B
官僚制に焦点を当て、現代社会における行政の活動と役割について把握します。官僚は、政治家との関係また社会や市民との関係の中でどのような行動様式をとるのか。これらを理論的な観点から理解します。また予算や立法といった具体的な政策形成過程を概観する中で、官僚の実際の活動にも焦点を当てます。
キーワード:行政、政策、政治、制度、組織、官僚
地方財政論
いまの日本の地方財政の実態(財源の確保と支出のあり方など)に対する理解をデータを参照しつつ深め、制度およびその背景にある経済学的な基礎理論について学習します。
キーワード:地方財政、地方分権、地方歳出構造、地方税、国庫支出金、地方交付税、地方債、地方財政健全化
自治体法務
自治体の職員になれば基本的な知識として身に着けておく必要がある重要な事務(自治体重要基本事務)、法律に基づく事務、条例論等、最先端の議論も交え、⾃治体法務の基本的事項を学びます。⾃治体法務に関する関心を高め、自治体職員を目指す動機付けや、条例の制定その他の自治体の諸活動を理解します。
キーワード:自治体法務、政策法務、地方分権、地方自治、行政法
地方自治論
中央政府と地方政府との関係、地方における政策のあり方を考察することによって、現代国家、特に現代日本の政治行政を理解します。
キーワード:地方自治、地方政府、地方財政、地方分権、まちづくり、中央地方関係、住民参加、首長、地方議会
政治学原論A
現代政治を理解する際に必須となる様々なトピックについて、合理的選択論という分析視角に基づきながら、体系的に理解できることを目的とします。具体的には、1)国家と政治体制、2)政治制度と政治過程、3)国際政治の3点を、様々な理論やデータについて、理解することを目指します。受講生は、政治学を構成する様々なトピックを統一的な視点から理解できるようになり、現実政治に対する理解も深めます。
キーワード:政治、国家、選挙、投票、政党、政権、執政、立法、司法、政策過程、官僚制、利益団体、連邦制、地方制度、安全保障、国際政治経済、国際社会
政治学原論B
政治行動論の観点から、代表民主制のメカニズムについて体系的に理解することを目的とします。具体的には、1)世論の動態、2)選挙と投票行動、3)政策と世論の関係性の3点を、様々な理論やデータについて、理解することを目指します。受講生は、現在の代議制民主主義を機能させる市民社会の諸条件について理解できるようになることにくわえて、その背後にある、有権者の心理的メカニズムへの理解も深めます。
キーワード:民意、有権者、党派、投票参加、投票選択、選挙、経済、政策、選挙制度、政治行動、地方自治体、選挙管理
政治過程論
実験政治学の入門的な授業です。不完全情報のもとで有権者がどのようにふるまうかについての理論と、そのような有権者に必要な知識を学習させることを可能にする制度とはどのようなものかについて論じ、その理論の妥当性が実験によって裏付けられていることを学びます。「現代民主制における委任の成否と制度の重要性」「学習と説得の理論」「政治学における理論と実証」について理解します。
キーワード:学習、説得、騙し、委任、制度

夏季・春季休暇に実施するプログラム

霞が関セミナー
中央省庁で活躍することを目標にする学生やその仕事に関心がある学生が対象。国家公務員で働く上で必要な知識や資質・能力について理解し、キャリアビジョンやアクションプランを立て実行に移すことが目的です。具体的には、本学教員による中央行政に関する講義、各省の採用担当者による説明会、官僚OB・OGとの交流セッション、霞が関周辺への訪問・視察を通して、国家公務員として求められる資質や能力、着任までのプロセスや働きがいおよびキャリアビジョンをインタビューします。関西学院大学キャリアセンターが開講する授業です。
キーワード:国家公務員、中央省庁、官僚、霞が関、行政、政治、公務員試験、キャリアデザイン、ロールモデル、OB・OG、合宿、実務、日本、地域、環境
議員インターンシップ実習
NPO法人ドットジェイピーが運営する「議員インターンシップ」の活動を通して、社会が抱える課題に目を向け、課題に対してどのようなアプローチを行うべきかを考える力を養います。議員事務所でのインターンシップを通した実社会での経験により、公共政策および政治の現場を体験・理解し、法学部の学びに活かすことを目的としています。
キーワード:議員、インターンシップ、ビジネスマナー、キャリアデザイン

目的別に応じた履修の例

 
・地域政策の専門的知識を向上させたい場合
 地域政策入門 → 地域政策論 → 地域政策演習A・B
 
・政策立案のスキル・能力を向上させたい場合
 公共政策発展演習 → 公務特修実践演習B → 大学院:公共政策特講
 
・合計形成のスキル・能力を向上させたい場合
 公務特修入門 → 公務特修実践演習A

・条例立案のスキル・能力を向上させたい場合
 自治体法務 → 大学院① → 大学院②

公務員試験の対策講座

各種試験対策をサポートする「エクステンションプログラム」
ダブルスクールをキャンパスで経験しよう

関西学院大学「エクステンションプログラム」は、資格取得や各種試験対策をサポートするためのプログラムです。特徴は「正課授業との両立」「関学生だけの特別価格」「満足度の高い講座・受講生サポート」「欠席時フォロー」です。公務員関連の講座は下記の通りです。

 ◆国家公務員一般職・地方上級公務員試験講座
 ◆国家公務員総合職試験講座
 ◆教養型公務員試験講座
 ◆外務省専門職員採用試験講座

エクステンションプログラム (資格取得・試験対策講座)関連ページへのリンク

公務員の仕事と魅力を知る機会

キャリアオリエンテーション

法学部は毎年、法律や政治に関わりが深い業界で活躍している卒業生が講師となり、仕事の内容や魅力、自身のキャリアなどをリアルに語るイベント「キャリアオリエンテーション」を開催しています。
テーマの一つに「公務員の仕事と魅力」を設け、1年生次から公務に触れる機会を作っています。

キャリアオリエンテーションを開催 のべ2400人が法律・政治に関する仕事を学ぶ 関連ページへのリンク