[ 法学部 ] 公務に特化した授業公務特修実践演習A

公務員の実務に即した実践的な合意形成能力を身につけ
公務キャリアの形成を明確化

特修コース(公務分野)の授業で、公務特修入門(2年)で学んだ合意形成をさらに深める授業です。合意形成の理論を理解し、利害関係者間の合意形成を実践的に体験することで、公務員として必要な調整能力を涵養するとともに、理論に実践を落とし込めるようになります。
そのために学生は、授業で伝える理論モデルを(将来実社会で活用できるよう)大学生活に適用したり、2つのロールプレイングゲーム(SIM2035、個人情報保護協定)をします。
もう一つの目的が、公務キャリアの形成に向けて自分自身の内面を深めること。人生において何を実現したいのか、そのために公務員として何がしたいのか、その公務員として活躍するために必要な能力は何か、必要な能力と現状の能力のギャップは何か、などを理解・意識化・言語化し、どう実現していくか、どう伸ばしていくか、などを明確化します。
そのため、毎授業後、自己分析ワークを課題にします。それに対してコメントし、リバイスすることを繰り返すことで、深めていきます。最後には、それらを整理して、自身のキャリアシート・コンペテンシ―シートを作成・発表します。

授業の特長

こんな人におすすめ
・将来は公務員をめざしている人
・合意形成能力を伸ばしたい人
・就活に向けて自己分析を深めたい人
どんな学びや成長ができる?
・合意形成理論・実践的な能力を伸ばすことができます。
・公務キャリアの形成に向けて、自身の考えを明確化できます。
・(公務員志望でなくても)就活に向けて、自己分析を深められます。
授業の雰囲気は?
2年生で担当教員の授業を履修してくれた学生がほとんどなので、教員と学生、学生間の関係性も長くなってきます。(なれ合いや緩んだ雰囲気はよくないと思いますが)よい意味で安定した、穏やかな雰囲気の中で授業が行われていると感じます。
担当教員が語る他にはない魅力
合理形成の理論を理解したうえで、実社会で活用できるよう大学生活に適用してみたり、合意形成を経験するためのゲームをしてみたりすることで、学生は実践的なスキルを身につけることができます。公務キャリアの形成に向けて、担当教員は、国家公務員としての実際のキャリア形成に加えて、アメリカ大学院留学時に公務キャリアの形成についても学んでおり、理論・実践の両面からサポートできます。
キーワード
調整、合意形成、公務能力開発、公務キャリア形成、自己分析
履修基準年度・担当教員
履修基準年度:3年生
担当教員(2025年度):小川 大和

授業計画

授業計画
第1回 【オリエンテーション】
・授業概要の説明
・自己紹介等
【導入講義】
・公務キャリア形成について
第2回

【講義】
・合意形成とは
  テーマ1:価値対立とは(総論・実例)
  テーマ2:(価値対立があるなかで)合意形成とは
  テーマ3:(合意形成に必要な)調整能力とは
【説明】
・翌週のグループワークの説明、準備
 

第3回

【発表・質疑応答】
・(各グループ)合意形成理論の該当箇所
【説明】
・アクティビティのガイダンス ロールプレイングゲーム「SIM2035北海道」
 -導入講義(北海道の状況等)
 -役割決定
 -ゲームの前提・ルール等の説明、翌週のグループワークの説明

第4回

【発表・質疑応答】
・(各グループ)ゲーム中の政策の詳細
【説明】
・翌週からのアクティビティの確認

第5回 【アクティビティ】
・ロールプレイングゲーム「SIM2035北海道」を実施(第1ラウンド)

第6回

【アクティビティ】
・ロールプレイングゲーム「SIM2035北海道」を実施【続き】(第2ラウンド)
第7回 【アクティビティ】
・ロールプレイングゲーム「SIM2035北海道」を実施【続き】(第3ラウンド)
第8回 【講義】
・ロールプレイングゲーム「個人情報保護協定」ガイダンス、導入講義、役割決定等
第9回 【発表・質疑応答】
・(各アクター)自身の役割のスタンス等
【準備】
・自身のスタンスにもとづく協定案の作成
【説明】
・翌週からのアクティビティの確認
第10回 【アクティビティ】
・ロールプレイングゲーム「個人情報保護協定」を実施(第1ラウンド)
第11回 【アクティビティ】
・ロールプレイングゲーム「個人情報保護協定」を実施(第2ラウンド)
第12回

【発表・質疑応答】
・(各自)合意形成理論に実践を落とし込み、自身の対応の評価
【説明】
・翌週からのアクティビティの確認

第13回

【発表・質疑応答】
・(各自)キャリアプラン・コンペテンシ―シート

第14回

【発表・質疑応答】
・(各自)キャリアプラン・コンペテンシ―シート(続き)

ここまで読んだあなたへのメッセージ

合理形成というのは、何も公務の世界だけではないと思います。兄弟で一つのみかんを分け合う、というのも合意形成です。それを半分ずつに分けるのは、お互いが納得できない部分を抑えることになるので、正しい合意形成とは言えません。正しい合意形成は、両者から丁寧に話を聴き、兄はジャムを作るための皮のみ必要、弟はジュースを作るための実のみ必要、それらを両者にフルで提供できるWin-winの関係にできるだけ近づけていくことが合意形成だと感じます。
また、(民主主義の世の中においても)全体の51%から賛成を得ることが合意形成ではないとも感じます。それでは、30%はどうでしょうか。10%は?、1%は?。どこからが合意形成かは人によって異なると思います。そう考えると、合意形成の本質は、何%の合意を得ればいい、ということではなく、反対するものを(納得感を得ながら)できるだけ少なくするための努力をし続ける過程、そのもの自体だと感じています。
そのための理論を理解し、実社会で活用できるよう大学生活に適用してみたり、実践的に合意形成を経験するためのゲームをしてみることは、社会に出てから、間違いなくプラスになると思います。この授業でご一緒させていただけることをとても楽しみにさせていただいています。