[ 文学部 ]フランス文学フランス語学専修FRENCH LITERATURE AND LINGUISTICS

メッセージ

フランスはもちろん、世界の様々な国・地域で話されているフランス語を習得し、この言語の仕組みや働きを言語学的な観点から考え、長い歴史と豊かな文化・芸術をもつフランス語圏の文学を精緻に読み解くーこれがフランス文学フランス語学専修での学びです。まずはフランス語の「聞く・話す・読む・書く」を基礎から学び、体系的な教育プログラムのもとフランス語の高い運用能力を身につけていきます。ただ、外国語として学んだ言語を真に「活かす」には、その言語の歴史的な成り立ちを知り、言語表現のメカニズムを科学的に捉え、人間と言葉の多様な関わりの結晶とも言える文学作品を歴史的・社会的背景とともに理解することも極めて重要です。人間にとって言語とは何かという根本的な問いにつながるこれらの事柄を、フランス語を通して科学的に考えるなかで、グローバルな視点をもつ、多様性に開かれた世界市民に成長することを目指します。

教員紹介

フランス語学、意味論、名詞句の指示、冠詞Research keywords

小田 涼 教授

冠詞のない日本語を母語とする話者にとって、英語やフランス語の冠詞を正しく使い分けることは至難の業だと思います。冠詞のはたらきと名詞句の指示を理解するには、物理的に顕在する現象や客観的事実だけでなく、発話参加者の持つ個人的知識や文化的知識、発話状況などの言語外の潜在的な要因を考慮することが重要であると考えています。

外国語を学ぶことや言葉について考えることは、人間が世界をどのように捉えているのかについて思索することです。冠詞の問題と向きあうとき、このことはいっそう強く意識されるように思われます。

文学理論、フィクション理論、フランス近現代文学Research keywords

久保 昭博 教授

文学研究には「フランス文学」や「イギリス文学」のように特定の国や言語圏の名前が付けられたものの他に、物語の構造、ジャンルや文体、あるいは文学とそれ以外の芸術の関係などを考察する「文学理論」という研究分野があります。私はそのような文学理論のなかでも、とりわけフィクションという問題に関心を抱いて研究を行っています。フィクションは、私たちのもっとも身近にあるものでありながら、いざその正体をつかもうとするととたんに難しい問題として現れます。歴史書に現れる「ナポレオン」と、小説の登場人物として現れる「ナポレオン」は同じ人物を指しているのか。なぜ私たちは、実在しないと分かっている小説の登場人物に感情移入したり、その運命に共感したりできるのか。嘘やフェイクニュースはフィクションと言えるのか……。小説はもちろん、映画や漫画など文学以外のジャンルにも関わるフィクションをめぐるこうした問いを通じて、文学を人間的な営みの一つとして捉えなおすことが私の研究の目的です。

フランス語学、テクスト言語学、対照修辞学、対照言語学Research keywords

高垣 由美 教授

専門はフランス語学、テクスト言語学、日仏対照言語学、対照修辞学です。特に関心があるのは、日本語とフランス語の好まれる文章構成パターンの違いの比較、その違いに寄与する現象の記述と、言語学的要因の探求です。

20世紀フランス文学、小説の技法、精神分析の応用Research keywords

東浦 弘樹 教授

20世紀フランス文学、とくに『異邦人』の作者として有名なアルベール・カミュの作品を研究しています。カミュはよく実存主義の作家としてサルトルと並び称されますが、彼の作品の魅力は、哲学的政治的思想よりも、むしろそのたぐいまれな感性や文体にあると思われます。そこで私は「幸福の追求」というきわめて人間的な観点から、カミュの小説、戯曲を再検討してみたいと思っています。

そのほか、20世紀小説の新しい語りの技法の試み、小説研究への精神分析の応用にも興味をもっています。

フランス語学、対照言語学、意味論
Research keywords

プヨ バティスト 教授

専門はフランス語学、対照言語学、意味論です。最近は、特に言語による意味の構築の違いに興味があり、フランス語・日本語・バスク語を比較して研究しようと思っています。ある複数の言語がどのように異なるのか、その異なった点をどのように考慮すればお互いにより良く理解できるのかは、対照言語学の立場からの研究で明らかにすることができます。対照言語学の研究は、知的好奇心を満たすだけでなく、社会貢献にもつながると考えています。 

19世紀フランス詩、ステファヌ・マラルメ、詩のディスクール分析Research keywords

松浦 菜美子 准教授

19世紀フランス詩、とりわけステファヌ・マラルメの詩を研究しています。19世紀はフランス革命の余波を受け社会全体が大きな変貌を遂げた時代です。当時の社会的、宗教的、文化的状況の中で、詩はどのような新しい美や感覚を獲得したのか。どのような詩的技法が、新しい美や感覚の造形に寄与しているのか。新しい言語表現が時代との交渉の中で生まれる現場に関心があります。

なお、詩の分析では詩法や文彩だけでなく、詩が話し手による発話であるという点を大事にしています。詩がどのような発話として書かれてきたのか跡付けることが私の研究の長期的な目標です。

授業紹介

フランス語海外研修・
フランス語中期留学
フランス語海外研修は夏季休暇の1カ月間、フランシュ・コンテ大学で、フランス語学習プログラムを受講。また、フランス語中期留学は、秋学期の約4カ月間リヨン第二大学でフランス語プログラムを受講します。