[ 文学部 ]心理科学専修PSYCHOLOGICAL SCIENCES

メッセージ

人間を科学的観点からとらえ理解する

総合心理科学科では、人間を科学的に理解する心理学の教育と研究を行っています。1~2年生の間は、心理学の基礎的知識やさまざまな研究方法(観察・実験・調査・検査・統計処理など)の基本を学びます。

3年生になると、心理学およびその周辺分野に関する知識と技術をより深く学ぶため、各領域の専門家である専任教員の演習に分属します。これは、4年生で取り組む卒業論文の準備作業になります。具体的な専門分野は、知覚・生理・認知・学習・記憶・思考・言語・感情・動機づけ・性格・教育・発達・健康・異常・臨床・障害・社会・比較文化・乳幼児・高齢者・親子関係・動物・行動分析学・神経科学・精神医学など多彩です。

数十の実験実習室、3つの実習用ホール、4つの面接室、5つの観察室、3つのプレイルームなどの学科施設に、バーチャルリアリティシステム・眼球運動計測装置・脳電位リアルタイム解析装置などの最先端機器や、各種心理検査用具を保有しています。また、わが国では最大規模の動物心理研究施設もあります。

教員紹介

パーソナリティ心理学、臨床感情科学Research keywords

有光 興記 教授

人は幸福になるために、成功しようと努力します。そして、うまくいかないと思って不安になったり、失敗してひどく落ち込んだりします。また、うまくいっても、その後の失敗を恐れると幸せな気分を味わうことができません。どうすれば不安や落ち込みから開放され、幸せを感じられるようになれるのかが、私の研究室のテーマです。

これまで、“あがり”や罪悪感を経験しやすい人のパーソナリティやそれらの感情への有効な対処行動について研究を行ってきました。臨床現場では、さまざまな心理検査を実施し、不安症や発達症への認知行動療法を実践しています。近年は、慈悲とマインドフルネス瞑想が肯定的感情、否定的感情に及ぼす効果について研究を行っています。

人間の記憶や思考を中心とした認知心理学的研究Research keywords

伊藤 友一 助教

私の専門は認知心理学です。認知とは、生体が情報を収集・処理する活動を指す言葉です。つまり認知心理学では、情報を収集するために必要となる知覚や注意、手に入れた情報を頭に留めておく記憶、それらの情報を基に自身の行動を想像・計画・決定する思考や意思決定など、頭の中で行われるあらゆる心の働きや現象が研究対象となっています。

認知活動はそれぞれ個別に行われているわけではありません。何に注意を向けるかで記憶する内容が変わり、記憶した内容に応じて思考や意思決定内容も変わります。私の研究室では、人間の記憶や思考、意思決定など、相互に絡み合ったさまざまな認知活動の背景に、どのような仕組みや個人差が存在しているのかについて研究を行っています。

健康心理学、健康行動、ポジティブ感情Research keywords

大竹 恵子 教授

私の専門は、健康心理学です。健康心理学は、心身の健康の維持・促進を目指した心理学の応用領域ですが、臨床心理学をはじめ、さまざまな心理学の領域とその成果を基盤としているだけではなく、公衆衛生や疫学、社会学などの他領域とも密接に関連した研究分野です。

例えば、生活習慣病に関わる喫煙や食行動を行動変容のモデルから理解し、健康増進をめざした予防的な実践活動を行っています。また、感情の中でもとくにポジティブ感情がもつ機能に注目し、人間が持っているポジティブな個人特性と幸福感についても研究を進めています。現代社会の要請に基づいて社会に貢献できる心理学の研究をめざしています。

知覚心理学、認知科学、潜在認知過程Research keywords

小川 洋和 教授

私たちは自分の周りの世界に有りのままに知覚しているように感じていますが、実際には知覚される世界はさまざまな形でゆがんでいて、物理世界と同一ではありません。それなのに、私たちが普段なんの問題もなくその世界の中で行動できている(ように感じている)のはなぜなのでしょうか?

私たちが意識的に行っているように感じているさまざまな認知活動や行動は、実はその大部分が意識に上らない無意識的な処理によることが最近の研究でわかってきています。その潜在的知覚・認知過程の働きを、巧妙にデザインされた実験によってあぶり出し、メカニズムを解明することが私の研究テーマです。

精神医学、気分障害、自殺予防、臨床心理学Research keywords

小野 久江 教授

私は関西学院大学文学部におけるただ一人の精神科医として、大学生の一般教養としての精神医学と、心理学を勉強するものに必要な精神保健を教えています。世間では精神医学・精神保健の怪しい知識が氾濫しています。関西学院大学で学ぶ学生には正しい知識を持って欲しいと思っています。

研究面では、自殺予防を目的とした分子精神医学的研究から臨床研究までを幅広く行い、国際的な評価も得てきました。最近では、これらの研究成果をもとに、自殺予防・精神疾患の啓発活動にも力をいれ、地域精神保健への貢献をめざしています。研究室では、臨床心理士や医療関係の仕事をめざしている学生が、頑張って勉強しています。

認知心理生理学、注意、事象関連脳電位Research keywords

片山 順一 教授

われわれは「変化」に対して非常に敏感です。変化に気づくためには、それ以前の環境を記憶していることが前提となります。時々刻々と入力される環境からの情報をその記憶と比較照合し、その結果ミスマッチが生じると注意が引き付けられ意識化されるのです。

しかし、ミスマッチが生じるまでの過程はわれわれの意識には上りません。そのため、このメカニズムを探るには前意識段階での情報処理過程を高い時間分解能で検討可能な指標が必要となります。頭皮上から記録される事象関連脳電位(ERP)を指標として、知覚、注意、記憶といった認知過程の解明や認知機能を評価するための研究を行っています。

子どもの社会適応、愛着、ジェンダー、家族Research keywords

桂田 恵美子 教授

育児や子どもについてさまざまな問題が取り上げられている昨今、子どもが親との安定した愛着を持っている、そして、子どもが安定した愛着を形成できる親のかかわりというものが重要だと考えています。子どもの健全な発達を念頭に、子どもの社会適応にかかわるさまざまな要因に関心を持ち、研究しています。

また、私のもう一つの研究の柱として、ジェンダー研究があります。男女共同参画社会の現在、人々の性役割意識はかなり平等主義的になってきて、性格面での男性性・女性性における男女差はあまりないという研究結果も出ています。しかし、性役割分業はいまだに行なわれており、そうした社会での心理的葛藤に注目して研究しています。

認知神経科学、空間認知、記憶Research keywords

佐藤 暢哉 教授

眼や耳から入ってきた情報は、それ自体は光や空気の振動でしかありません。このような情報を、どのようにして私たちは意味ある情報として認識しているのでしょうか。日頃、何の疑いもなく見聞きしていることは、私たちの脳内での多くの処理を通して意識に上っています。

たとえば、いつも通る帰り道などは特に意識しないでもたどることができます。自宅まで間違えずにたどり着くのはとても複雑な行動であるはずですが、私たちは特に意識することなく、それをやり遂げることができるのです。このような意識的・無意識的な行動を、脳における処理という点から理解することをめざして研究しています。

臨床心理学、認知行動療法、臨床児童青年心理学Research keywords

佐藤 寛 教授

私の専門は臨床心理学で、子どもから大人まで幅広い年齢層の心の問題に関する研究と実践に携わっています。特に認知行動療法の視点に基づいた心理学的技法を、臨床心理学、教育心理学、精神医学、スポーツ心理学といった分野に応用しています。

科学者-実践家モデル(scientist-practitioner model)の考え方を大切にしながら、実践に役立てることを視野に入れた研究を行うとともに、科学的知見への深い理解からクライエントの生活の改善に貢献できる実践を展開することを目標にしています。

思考、学習、実験心理学Research keywords

嶋﨑 恒雄 教授

我々を取り巻く世界は情報に満ちています。我々はこれらの情報を取捨選択し、組み合わせ、新しいものを創り出し、それらを適切に利用し、この世界の中で生きています。身近なところでは、受験勉強などを“思考”や“問題解決”と連想することができますが、我々の生存そのものも間断のない“思考”や“問題解決”に支えられているのです。

私は「思考心理学」とよばれる領域のなかで、このような問題解決や推論がどのような過程を経て行なわれるのか、またそのために必要となる新しい情報の獲得・生成、すなわち学習がどのような過程を経てなされてゆくのかということについて、実験心理学的な観点からの研究を行なっています。

学習心理学、行動分析学、比較認知科学、ヒトと動物の関係学Research keywords

中島 定彦 教授

ベルの音を鳴らして餌を与えることを繰り返すと、そのうちベルの音だけで、犬は唾液を流すようになるというパヴロフの犬の実験。これが条件反射(古典的条件づけ)の一例です。古典的条件づけは、われわれ人間から無脊椎動物にいたるまでほとんど全ての動物が有している学習メカニズムです。この学習メカニズムを実験的に解明することが私の研究課題です。

われわれ人間を含めて、動物は環境から得た情報を処理する認知機能を有していますが、この認知機能がどのように進化してきたのか、現存の各動物種の認知機能はどのような特徴をもっているかを比較検討する「比較認知科学」も専門としています。また、ヒトと動物のさまざまな関係についても心理学の立場から研究しています。

生涯発達心理学、精神的健康、質問紙法Research keywords

成田 健一 教授

発達を広く一生の問題として捉える生涯発達心理学的視点から、広義の精神的健康を自己報告式の質問紙によって測定することに興味を持っています。高齢社会と言われて久しいわが国ですが、高齢者と言ってもその実情はさまざまです。私たちはその実情をあまり知らずに、したり顔で評論しがちです。

実際に青年期〜成人期〜老年期などの時期によって、精神的健康に関連する心理学的な諸概念はどのように変化するのか、また構成概念を測定する指標として何が適当なのか、同じ言葉を使えば、年齢群が異なっていても同じように測定できるのか。老年期における精神的健康や関連する構成概念を、どのように測定するかという問題に取り組んでいます。

文化とウェル・ビーイングの比較文化心理学的研究Research keywords

一言 英文 准教授

人間にとって文化とは、魚にとっての水の如く、普段はその存在が見えにくいものです。水中で生活することで魚はエラを手に入れましたが、では、文化の中で生活する人間は、どうでしょうか。私達の心を取り巻く文化は、歴史が残した生き方であり、人々が伝え交わす物事の意味であり、生活を彩る生きがいの源泉だと私は考えています。

私の専門である「比較文化心理学」や「文化心理学」と呼ばれる社会心理学の応用領域では、文化の異なる人々が、互いにどのような心を持ち、どのような世界を生きているのかを、実証心理学的な手法を援用して解き明かします。私の学術的な関心は、心がどれほど深く文化によって形成されているか、心にとって本質的な多様性とは何かなどになります。

臨床心理学、行動療法、応用行動分析Research keywords

米山 直樹 教授

私の専門領域は臨床心理学で、主に不登校や発達障害のお子さんへの支援の在り方について実践・研究を進めてきました。学習論に基づく行動療法や応用行動分析を中心とした行動論的アプローチで、問題の発生原因を環境と個体との相互作用上に生じた不具合として捉え、双方に働きかけることで問題の改善を試みるという方法論を用いています。

臨床場面における効果測定の際には、具体的・客観的定義を基にした観察可能な対象を取り上げて取り組むようにしています。最近は大学内のプレイルームにおいて、発達障害のお子さんを対象とした個別支援の研究を行っている他、地域の特別支援学校や発達相談機関と連携して、ご本人やご家族への支援方法の開発や分析を行っています。