先輩のロースクール生活

[ 編集者:大学院 司法研究科       2019年6月25日   更新  ]

久岡さんの3年間

hisaoka

未修だった私が感じていたのは、これからの学習に対する不安。入学までに可能な限り学習を進め、各法律の基礎の習得に励みつつ、勉強をする生活習慣をこの頃から意識していました。

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基本書の読み込みに始まり、基本書の読み込みに終わった一年間でした。入学当初は、与えられた課題をこなすだけで手一杯で、授業内容についていくのが大変な毎日。授業で十分に理解できなかった点を先生に積極的に質問して補ったり、土日の空いた時間に基本書を読んだりしていました。

春学期はとにかくめまぐるしく過ぎて行き、夏休みに。時間がたくさんあるので、基本書をじっくり丁寧に読み込みました。

今までわからなかったことが理解できたり、見落とした点に気づいたり、新たな発見がありました。

秋学期も、やはり基本書を主に活用して勉強。3年間で司法試験合格の力を醸成すればいいと考えていたので、1年生の時は基礎固めに専念しました。


◆自学自習◆
勉強は自宅では一切せず、学校で朝から夜まで集中してするというスタンスでした。このように明確に区別をすることで生活にメリハリが出たと思います。
また、成績優秀な上級生が1年生を指導する教学補佐という制度があるので参加し、勉強方法や試験対策など様々なことを教えていただきました。同じ学生の目線でのアドバイスは役立ち、上級生の姿は自分の2年後の目標となりましたね。

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2年生からは、演習科目、実務系科目がスタート。例えば、民事ローヤリングⅠという授業では、仮想事例が与えられ、ロールプレイ方式で事案処理の方法を学びます。

1年生で得た法律知識が、実社会で運用される様子を疑似体験することで、各法律についての理解も向上しました。さらに、法律をただ知っているだけでは不十分で、実際に使えるようになる必要があるということに気付きました。

また、演習科目全体でいえば、数多くの事例問題を解くことになります。

もちろん、内容は1年生より高度化したので、この時期は授業の課題を検討するだけでかなりの時間がかかってしまいました。

しかし、課題をたくさん解いたことで、事例問題に対して徐々に慣れることができた時期でもありました。

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学んだことを無駄にしないように、春学期の学習範囲を復習しました。演習科目は、問題を解きっ放しにするのではなく、基本知識を確認してこそ成果が上がります。

また、今後の演習科目を有効なものにするため、秋学期の範囲について基本書を読み直しました。司法試験の論文の過去問に関しては、この時期に初めてチャレンジ。

事案を読むだけで相当な時間がかかり、設問の意味もわからない状態。さらに、法務省のホームページに公表されている出題の趣旨および採点実感などに書かれている内容さえ理解できませんでした。

そこで、基礎力を向上させるべく、やはりここでも基本書を読み込み、さらに出題傾向の確認や問題に慣れるための訓練をしました。

◆条文・判例を読む会◆
早朝に、皆で集まって判例を検討。かなりの数の判例を読むとともに、一つひとつを丁寧に、そして工夫して読むようになりましたね。具体的には、まず判例の事案における訴訟物を考えるなど、訴訟をイメージして丁寧に分析してから判旨を読むようになりました。

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この時期から開講された民事裁判実務Ⅰや刑事裁判実務Ⅰなどの実務科目は、司法試験合格のために重要な科目でした。

というのもこれらの講義で得た知識を、民法や民事訴訟法などの法律基礎科目に応用することで、理解度が上がったからです。実務科目と法律基本科目を上手に融合して勉強をしたことが、司法試験合格のポイントの一つと感じています。

また、学習サポートプログラムの土曜ゼミを利用。合格者の修了生から勉強を教えていただきました。

さらに、1年次も参加した合格者報告会にこの年も行き、合格者のお話を聞いて、自分の勉強方法を検証しました。「訴訟をイメージして勉強すると効果的」というアドバイスを参考に、自分の勉強スタイルを確立していきました。


◆土曜ゼミの学習と教学補佐◆
土曜ゼミで、司法試験過去問を検討。問題の特徴や解くための勉強法など、本質的な研究をしました。また、教学補佐として下級生を指導。わかりやすい言葉での説明が求められるので、伝えることの大切さを意識でき、自分の勉強に好影響を与えてくれました。

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司法試験を強く意識し、授業に臨みました。具体的には、予習の際に論文の答案構成を作成し、授業を受けて自分が事前に作成した答案構成について分析、検討していました。これと並行し、司法試験対策も進め、1日のうち約2時間は、短答式の過去問に取り組んでいました。

市販されている体系別の過去問題集を使い、問題の傾向をつかむために憲法から順番に学習を実施。

春学期終了までにはこの問題集を一通り学ぶことができました。土曜ゼミでは、論文式の過去問を検討。

答案を2時間で実際に作成し、先生に添削していただきました。さらに、ゼミ生同士で答案を交換し、お互いに比較することで、自分の答案の良い点や悪い点を分析しあっていました。

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この時期も、重点を置いていたのは基本書の読み込み。基本知識をより一層、確実にすることを心がけていました。「合格のためには基本知識を確実にすることがとても重要」と、どの先生もおっしゃっていましたし、私も実際に受験してみてそう感じています。

その上で、司法試験の過去問を検討し、学習サポートプログラムの基礎力確認講座を受講。司法試験の過去問を実際の試験時間で解き、その後に合格者の先輩からアドバイスをいただきました。

同じく、学習サポートプログラムで文章力アップ講座も受講。これは、司法試験の過去問を本番と同じ試験時間で解いてから、合格者の先輩に添削をしていただける講座です。先輩からの添削は懇切丁寧でとても参考になりましたね。

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受験が迫っても変わらず、できる限り多くの授業を履修し、授業最優先の勉強を継続。予習を重視し、授業で復習をするというイメージでしたね。

試験対策という点では、1日のうち2時間は短答式、1週間のうち1日は論文式の過去問を検討する時間を必ず確保し、過去問を解くことに加えて、それに関連する条文、基本書などを確認していました。短答式に関してはある程度の暗記も必要です。

図表を自ら作成したり、教科書などから抜き出したりして活用し、暗記方法を工夫して覚えました。

また、採点実感についての読み込みも行いましたね。採点者が求めることが明確に記述されているので、新たに気付く点もたくさんあり、答案に対する意識が変わりました。

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普段と同様に学校で勉強を続けていましたが、生活のリズムは受験に合わせて朝型に。午前は論文を書いて検証し、午後は条文と基本書を読み直し、基本の理解をさらに確実にするとともに、覚えるべき定義などは暗記カードを作って覚えていました。

そして、いよいよ試験本番。当日は、「知っている問題や論点は出題されない」との心づもりで臨みました。どうせ考えたことのない問題が出されると割り切ったほうが焦らず済みますし、また考えることを怠らない意識も保てます。

受験会場には、自分で作成したノートを持ち込み、試験開始の寸前まで見直し。そのおかげで解答できた問題もいつくかありました。