2022.09.07.
2022年(令和4年)司法試験の結果について

2022年(令和4年)司法試験の結果について

 2022年9月6日、本年5月に実施された司法試験の合格発表がありました。関学ロースクールは、合格者7名、合格率24.1%で、やや残念な結果となりました。
 内訳をみると、合格者のうち5名が初回受験合格であり、現役組中心という最近の傾向が維持された結果となりました。また今年度は未修者の合格率が28.6%(既修者は20.0%)と相対的に高かったのが特徴です。
 今年の受験者は、コロナ禍のもと一時期はウェブ授業が中心となり、その後も、さまざまな制約の中での学修を強いられました。今回、そういった苦難の中での絶え間ない努力を通して合格された本学ロースクールの修了生の皆さんに、心からお祝いを申し上げます。他方で、無念の思いに沈んでいるだろう皆さんには、受験を継続される場合はもちろん、新たな道を模索される場合にも、できる限りの支援をさせていただくことをお伝えいたします。

  今回、本学の初回受験者(11名)については45.5%の合格率でかなり健闘しています。昨年よりも合格者数や合格率がやや後退した大きな要因は、2回目以降の再チャレンジ組の結果が例年に比べても特に厳しかったことです。現役合格ないし修了からの時間が短い方が合格しやすいという傾向は近年ますます強まっており、それには根拠があると思われます。
 第1に、知識よりも基礎力をもとに現場での思考力を問うという司法試験の性質です。日々の教室で鍛えた反射神経(いわば試合勘)が本番に生きるのでしょう。逆に言えば、現役学生は、法科大学院の授業を重視し、そこで優良な成績を修めることを目標として日々努力することが合格の早道だということです。また、再受験になったときも、出来るだけロースクールから離れないことが成功の秘訣だと思われます。
 第2に、現役合格者については、司法試験の結果とロースクールの成績との相関関係が高い点です。本学が日々改善の努力を継続している、研究者教員と実務家教員による教育カリキュラムと教材が、実務家登用試験としての司法試験の方向性とマッチしていることが考えられます。ただ、今回の結果は、在学生の全体的な成績の底上げのため、教育面での改善、特に基礎力の大幅な向上が必須であることと、再チャレンジ組への支援が本学の課題であることを示しています。
 第3に、ロースクールでの日々の厳しい学修のペースや通学の生活習慣や励ましあう人間関係を維持して、その勢いで司法試験に望むことが、受験に対する精神的・肉体的なコンディションを整えやすい点です。学校コミュニティーの雰囲気や文化も結果を左右する要素だといえるでしょう。

 司法試験の結果に照らしつつ、私たちは、在学生や再挑戦を行う修了生の皆さんが、授業や土曜ゼミなどを通じて切磋琢磨しつつ共に支えあう、暖かく活力あるロースクール文化を発展させてまいります。また、関西学院のスクール・モットーである“Mastery for Service”を胸に、皆さんがその目標に向かって着実に進むことができるよう、ロースクール教育の改善に力を尽くしてまいります。

2022年9月7日                 
                  関西学院大学大学院司法研究科長 池田 直樹