2022.08.29.
「関西学院世界市民明石塾」を開催(8/2,4,5)

関西学院大学は将来のグローバルリーダー育成を目的として明石康・元国連事務次長(本学学長特別顧問)を塾長に迎え、高校生対象の「関西学院世界市民明石塾」(以下、明石塾)を開催しました。

6度目の開催となる今回は「教育と私たちの未来~Education and Our Future~」をテーマに「SDGs(持続可能な開発目標)から Goal 4:質の高い教育をみんなに」を中心に、選考に合格した全国の高校から29名の高校生が3日間にわたり学びました。

オンライン形式で実施されたプレセッションは、まず認定NPO法人 開発教育協会/DEARによる「SDGsワークショップ」を実施。初めて顔を合わせる参加者のアイスブレイキングも兼ねながら、持続可能な開発はどのようにすれば達成されるのか、質の高い教育とは何なのか等、グループディスカッションを交えながら日本に暮らす自分達の暮らしと世界のつながりを考えるセッションとなりました。続いて行われたSDGsについての講演には南 博 大使 (特命全権大使(広報外交担当兼国際貿易・経済担当、国際保健担当))をお迎えし、国連でSDGsの議論が始まり採択されるまで日本の首席交渉官として第一線で携わってこられた大使より、SDGs誕生の経緯、採択までにどのような議論・交渉が行われてきたか、採択までのプロセス、さらに採択後の状況の変化等についてご自身の経験を交えながらお話いただきました。

本セッションは西宮上ケ原キャンパスにて対面形式で実施。1日目は明石 康 塾長による基調講演「日本が世界で輝き続けるための教育の課題-日本の大学生の国際競争力低下への対策は?-」からスタート。明石塾長は国連事務次長当時のご経験から多国間交渉の難しさを様々な局面を例にお話しされ、人との関わりにおいて相手に耳を傾ける謙虚な態度、和解に至る道筋を考え抜く知性、困難に直面しても悔しさをバネに切り開いていく気概の大切さを語られ、高校生達は熱心に耳を傾けていました。

その後実施された久木田純教授(元UNICEFカザフスタン事務所代表)によるセッションでは、「SDGsと私たちの未来」をテーマに地球と私たちの未来はどうなるのか、人生100年といわれる今日、どう生きればいいのか、どんな力が必要なのか、2030年までのSDGsを手掛かりに未来の地球と人類について考えました。

続いて、ユニセフ・ラオス事務所の上野明菜教育専門官にオンラインでご登壇いただき、三輪敦子教授(元国連女性開発基金(現UN Women)アジア太平洋地域事務所プログラム担当官)のファシリテイトのもと、上野さんからこれまでのキャリアパスや現在の職務内容、現役国連職員のリアルについてお話いただきました。高校生が今日からできる自己鍛錬は何かを非常に分かりやすくお話くださり、現役の国連職員の方のお話する貴重な機会に多くの質問があがりました。

本セッション2日目、最初のセッションでは「Education for the 21st Century」をテーマに、マッケンジー クラグストン教授(元駐日カナダ大使)が英語でレクチャーを実施。質の高い教育とは一体何なのか、過去から現在までの教育の歴史、途上国での教育の現状や課題等についてお話され、英語で多くの参加者が熱心に質問をしていました。

ディベートセッションでは「教育は貧富の格差を広げるか?」をテーマに、日本語と英語チームに分かれてディベートを実施。ディベートは初めてという参加者もいるなかで、多角的な視点で考えグループメンバーと意見を出し合いながら作戦を練り、本番では白熱した議論が繰り広げられました。「思っていたことを発言できず悔しかった」、「相手の発言に対して即座に切替しできず難しかった」、「色々な意見を聞くことができ楽しかった」、「他の参加者の英語でのディベート力に圧倒され非常に刺激を受けた」等、様々な感想があがりました。

明石塾の集大成である「教育と私たちの未来に関する声明」作成セッションは、5グループに分かれて作成したグループ案をもとに全体会合で一つの声明文へまとめ上げる作業を行いました。このセッションは、国連の委員会や国際会議にて必ずしも価値観や方向性が一致しない場で合意形成を進めるプロセスを模擬的に体感することも一つの目的としています。声明文に盛り込む内容や表現・言葉選びなど細かい点にも議論が展開し、神余隆博教授(元駐ドイツ日本国大使)のリードのもと、講師の久木田教授や三輪教授のコメントも交えながら、声明文を完成させていきました。

全てのセッション終了後開催された閉塾式では、明石塾長より「高校生には自由闊達に将来をデザインする事を期待し、日本の文化を良く知り、異文化へ旺盛な好奇心を持つことを大切にしてほしい」とのエールをこもったメッセージをいただき、参加者達はさらにやる気の満ちたような表情でした。最後には3日間のプログラムを修了した全員に、修了証書が神余教授より授与されました。

今年度の明石塾で学んだことが、参加者のみなさんにとって将来グローバルリーダーとして羽ばたくための一助となることを願っています。

2022年度 世界市民明石塾「教育と私たちの未来に関する声明」



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